駒井健一郎

駒井健一郎（こまい けんいちろう）は、1900年（明治33年）12月17日に生まれ、1986年（昭和61年）10月2日に生涯を閉じた日本の実業家です。彼は、日立製作所の第3代社長および会長として、同社の発展に大きく貢献しました。

生い立ちと学歴

駒井健一郎は、東京帝国大学（現在の東京大学）工学部電気工学科で学びました。この大学での学びが、彼の後のキャリアにおける技術への深い理解と、ものづくりへの情熱を育んだと考えられます。

日立製作所でのキャリア

1925年（大正14年）、駒井健一郎は日立製作所に入社しました。入社後は、日立工場の工場長など、要職を歴任し、その経営手腕を発揮しました。1961年（昭和36年）11月には、日立製作所の社長に就任し、1971年（昭和46年）11月までその職を務めました。社長退任後は、会長に就任し、1977年（昭和52年）6月までその職を務めました。

受賞歴と社会貢献

1971年（昭和46年）5月には、長年の功績が認められ、勲一等瑞宝章を受章しました。また、1970年（昭和45年）5月から1971年（昭和46年）5月まで、第57代電気学会会長を務めるなど、業界の発展にも貢献しました。

経営理念と発言

駒井健一郎は、技術開発を非常に重視していました。彼は「メーカーとして最も大切なことは、製品の性能、品質が良く、事故がないことと、新しい技術を開発して次代の要求に答えていくことである」と述べ、技術開発を尊ぶ日立の理念を体現しました。また、経営においては、意思決定の一元化を重視し、「企業の最高の意思決定は社長に一元化しないと、ゴタゴタが起こったり、決定が不明確になる。また、社長が先輩に遠慮して経営をやるようでは、はっきりした経営体制はとれない」と語りました。この言葉は、日常業務は後任の社長にすべて任せ、自由にやらせるという、日立製作所の会長就任時からの哲学を表しています。この考え方は、「船頭多くして船陸に上がる」という状況を防ぐためのものでした。

参考文献

『私の履歴書 経済人 第19巻』 1981年（昭和56年）1月1日～1月31日 駒井健一郎 日立製作所会長
吉山博吉、「名誉員 駒井健一郎氏を偲ぶ」『電氣學會雜誌』 1986年 106巻 12号 p.1187-1188, doi:10.11526/ieejjournal1888.106.1187

駒井健一郎は、その卓越した経営手腕と、技術革新への情熱によって、日立製作所を大きく成長させただけでなく、日本の産業界にも多大な影響を与えた人物として、その名を歴史に刻んでいます。

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