駒姫

駒姫（こまひめ）の生涯と歴史的背景

駒姫は天正7年（1581年）に誕生し、文禄4年（1595年）8月2日に亡くなった安土桃山時代の女性です。彼女は最上義光と釈妙英（大崎義直の娘）の次女で、羽柴（豊臣）秀次の側室候補として知られています。駒姫は伊達政宗の従妹でもあり、名前は彼女の故郷である御駒山に由来しています。

奴の側室候補としての運命

駒姫に関する記録はさまざまですが、一般的には豊臣秀次に見初められ、彼の側室となったことが有名です。ただ、彼女がどのようにして秀次のもとに送られたのか、具体的な経緯については諸説あり、一概に言うことはできません。

一つの見解によると、当時の史料『成実記』では、最上義光が駒姫を秀次に献上したとされています。その結果、義光は「天下の嘲弄」を受けたとも言われています。他の資料、特に江戸時代中期成立の『奥羽永慶軍記』では、秀次が駒姫の噂を聞き、彼女を側室にするよう義光に要求したが、最初は断られたとの記載があります。しかし、義光は度重なる请求に屈し、駒姫を京に嫁がせる約束をしたとされています。

駒姫の悲劇と処刑

文禄4年（1595年）、駒姫は京に到着し、最上屋敷で休息を取っていた折、7月15日に秀次が豊臣秀吉の命で切腹させられる惨事が発生しました。その後、駒姫も8月2日に他の側室たちとともに三条河原に引き立てられ、11番目に処刑されました。駒姫が完全に公式な側室として認められる前の出来事だったとも言われています。

処刑に際して、父の義光は必死に助命を嘆願しました。各方面から助けを求める声が上がり、秀吉も「鎌倉で尼にするように」と命じる手筈を整えましたが、間に合わなかったとされています。享年は15歳、資料によっては19歳と記されています。

彼女の法名は「諦雲院殿誓聴大姉」です。辞世の句も残されており、その内容は彼女の無実と、冥土に赴くことへの思いが表現されています。この辞世の句は彼女が愛用した着物に表装され、現在は京都国立博物館に保存されています。

駒姫の死とその後の影響

駒姫の悲劇的な死は、彼女の母である大崎夫人にも深い影響を及ぼしました。大崎夫人は娘の死の14日後に亡くなり、駒姫の後を追ったのではないかとも言われています。また、最上義光の心情も激しく、彼女の死が後の関ヶ原の戦いで東軍に属する理由として指摘されることもあります。

駒姫の死から1年後、義光は専称寺を建立しました。その寺は後に駒姫と大崎夫人の菩提寺として整備され、今もその歴史を受け継いでいます。また、駒姫の肖像画も保存されており、大正期に描かれたものが広く知られています。

駒姫を題材にした文化作品

駒姫は数々の舞台や映像作品でも取り上げられています。1987年のNHK大河ドラマ『独眼竜政宗』では坂上香織が彼女を演じ、2019年の舞台作品『SORAは青い』では平松可奈子が演じるなど、彼女の悲劇的な物語は今なお多くの人々に感動を与えています。

このように、駒姫の短く悲しい生涯は、多くの人々の記憶に残り、現代においても語り継がれています。

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