騎兵戦車

騎兵戦車とは

騎兵戦車とは、第一次世界大戦後の戦間期に、主に騎兵科に所属していた戦車のことを指します。第一次世界大戦で戦車が大きな戦果を挙げたことから、各国陸軍は戦車を採用し始めました。当初、戦車は塹壕突破用の兵器として歩兵科に配備されました。

しかし、戦車や装甲車の発達に伴い、騎兵科は縮小、あるいは廃止の動きに直面します。これに対抗するため、騎兵科は自らの機械化を進め、独自の戦車を保有しようとしました。その結果、フランスではAMC34やソミュアS35といった騎兵戦車が開発・採用されることになりました。

騎兵戦車の特徴

騎兵戦車は、既存の戦車と重複する存在と見られないよう、あえて「戦車」とは呼ばれないことが多くありました。例えば、フランスでは騎兵科の戦車は「装甲車（Automitrailleuse）」と呼ばれ、歩兵科の戦車（Char）と明確に区別されていました。日本でも騎兵科主導で開発された九二式重[[装甲車]]が、アメリカでも戦車（Tank）とは別に騎兵科が開発した「M1戦闘車（Combat Car）」が存在しました。

運用論的には、騎兵科は歩兵科とは異なる役割を担っていました。すなわち、攻勢における突破と浸透拡大の2つのフェーズにおいて、それぞれ異なる性格の戦車が必要であると考えられていました。騎兵科は、歩兵科よりも優れた機動性を活かすため、快速だが火力や装甲は軽めの軽戦車寄りの車両を多く運用しました。ただし、ソミュアS35のように、カタログスペック上は当時としては強力な中[[戦車]]に分類される車両もありました。

同様の考え方から、イギリスでは騎兵戦車ではないものの、快速軽防御の巡航[[戦車]]と重装甲低速の歩兵戦車という両輪体制が採用されました。ソ連軍も快速戦車（BT）を多く運用しました。

騎兵戦車の終焉

戦車の戦術的価値が増大し、機甲科（戦車科）が独立すると、騎兵戦車の多くはそこへ統合されていきました。しかし、フランスは軍制刷新が遅れ、歩兵科系の重・中・軽戦車と騎兵戦車が別系統のまま第二次世界大戦を迎えることになりました。その結果、雑多な戦車の開発・製造は、不十分な工業力のさらなる足枷となったことは否めません。

主な騎兵戦車

以下に、主な騎兵戦車を列挙します。

フランス
ルノーAMC33
ルノーAMC35
ルノーAMR33
ルノーAMR35
オチキス軽戦車
* ソミュアS35


騎兵戦車は、戦間期の独特な軍事的背景から生まれた興味深い存在です。その歴史を振り返ることは、現代の軍事戦略を理解する上でも有益でしょう。

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