驚異

ピンク・フロイドが2006年にリリースしたDVD作品『驚異』（原題：P.U.L.S.E）は、1994年に行われたアルバム『対/The Division Bell』のコンサートツアーから、1994年10月20日にロンドンのアールズ・コートで行われたライブを収録したものです。

1995年には既にライブアルバム『P.U.L.S.E』が発表されており、同タイトルのVHS、レーザーディスクも発売されていましたが、本作はこの映像版『P.U.L.S.E』をDVD化したものとなります。ただし、一部編集がVHS版とは異なっています。2006年のDVD化の際、日本版には『驚異』というタイトルが与えられました。

2019年には、ボックスセット『The Later Years』の発表にあたり、この映像作品の復刻再編集版がブルーレイとDVDの両ディスクフォーマットで収録されました。初のHDパッケージ商品であるブルーレイディスクは、オリジナルのSD映像をアップコンバートしたもので、DVDと同じく4:3の画角で収録されています。

このコンサートは有料チャンネルで生放送されており、その映像が主に使用されていますが、カメラのスイッチングなどは生放送された映像とは大きく異なっています。

「対」ツアーは、77ヶ所、全110公演にも及ぶ大規模なコンサートとなりました。特に話題を呼んだのは、コンサートの第二部で披露された1973年発表のピンク・フロイドの代表作『狂気/The Dark Side of the Moon』組曲です。1975年以来、実に19年ぶりの演奏となりました。

当時からコンサートでは大掛かりなステージングが展開されていましたが、「対」ツアーでは最新鋭のテクノロジーが導入され、このDVDではその圧巻のステージングを堪能することができます。伝説的なアルバム『狂気』の完全再現を含め、ピンク・フロイドのライブパフォーマンスの魅力を余すところなく伝える作品です。

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