驪山老母

驪山老母（れいざんろうぼ）

驪山老母とは、中国の民俗宗教と道教において重要な存在である女仙であり、上八仙の一柱としても知られています。驪山のふもとに住む老仙女であり、黎山老母や梨山老母とも呼ばれることがあります。彼女は多くの神格名を持ち、治世天尊、万霊主教、護国佑民の神と崇められています。

驪山老母の伝承

清代の兪樾が書いた「春在堂随筆」によると、驪山老母は実在の存在であり、虚無とは無縁です。道教の文献『驪山老母玄妙真経』によれば、彼女は古代に中原の驪山に降臨し、混乱を救うために神々の教えを伝えました。彼女の神秘的な容姿と威光から人々に「護国佑民」の象徴として崇められ、仙道修行者たちに道を授ける存在となりました。

『太平広記』では、唐の時代に李筌という修行者が驪山で偶然出会った老女が驪山老母であり、彼女から重要な経典の教えを受けたことが記されています。このような話は、驪山老母の重要性を物語っています。

歴史と神格化

驪山老母は、先秦時代には「驪山女」として知られ、商王朝の貴族に嫁いでいました。その末裔が後の秦を形成するに至ったとされ、その子孫には特別な役割が与えられていました。また、女娲が驪山で治世を行ったとする伝説もあり、驪山老母殿はその旧跡として尊重されています。

唐宋以降、驪山老母はさらに神格化され、道教の信仰において重要な役割を持つようになりました。女娲という神と結びつき、驪山老母は多様な伝説と共にその存在感を増していきました。

文化的影響

驪山老母は、唐代から明清時代にかけて、著名な女性武将や仙女の師として物語の中で数多く語られています。樊梨花や穆桂英、白娘子などのキャラクターは、驪山老母の弟子として描かれ、彼女の存在が女性の力や教えの象徴として根付いています。特に樊梨花は、驪山老母の弟子として武芸や仙術を修得し、戦いにおける強力な道具として知られています。

また、驪山老母は『西遊記』においても二度登場し、その中で観音菩薩や文殊菩薩と共に唐僧一行を試す場面が描かれています。これにより彼女の地位が示されると共に、物語全体の深い教訓が繰り広げられます。

現代の影響

驪山老母に関する信仰は現在でも大切にされており、陝西省の驪山老母殿では彼女を祀る祭りが行われ、旧暦の6月13日には多くの人が参拝に訪れます。歴史的な背景とともに、驪山老母は今もなお人々の心に生き続けているのです。

以上のように、驪山老母は中国の文化と歴史に深く関連した存在であり、彼女の教えと伝説は多くの人々に影響を与えています。

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