高エネルギー可視光線

高エネルギー可視光線（HEV）とは？

眼科分野において、高エネルギー可視光線（HEV）とは、可視光線の中でも波長が380nmから530nmと比較的エネルギーの高い光のことです。紫から青色の範囲であり、一般的にブルーライトとして知られています。太陽光などの白色光に多く含まれ、私たちの生活に深く関わっています。

HEVの人体への影響

目の健康への影響

HEVは、加齢黄斑変性の原因の一つとして指摘されています。また、特定の波長（400nm～500nm）のHEVは、青色光網膜傷害を引き起こす可能性も指摘されています。これは、光受容体が過剰にHEVを吸収することで、網膜細胞に酸化的損傷を与えるメカニズムが関与していると考えられています。

ただし、HEVが黄斑の構造や機能に悪影響を及ぼすという明確な研究結果や、目の疲れを改善するというエビデンスは現在のところ不足しています。

皮膚への影響

HEVは紫外線ほどではありませんが、活性酸素や過酸化脂質を発生させ、皮膚にダメージを与える可能性があります。コラーゲンやエラスチンを変性させ、シワやたるみの原因となることもあります。

概日リズムへの影響

網膜神経節細胞に存在するメラノプシンという色素はHEVに感受性があり、概日周期の調整に関与しています。日中のHEVはメラトニンの分泌を抑制し、夜間のHEVは睡眠を妨げる可能性があります。ただし、ハーバード大学医学部では、注意力、反射神経、精神の安定、睡眠の改善など脳の様々な機能の向上に有効とされているため、HEVを昼に多く浴びることを推奨しています。

HEVを含む光源

HEVは、太陽光だけでなく、様々な人工光源にも含まれています。

太陽光
ハロゲンランプ
カメラのストロボ
水銀灯
殺菌灯
ブラックライト用光源
蛍光灯
白熱電球
LED（青色、白色）
LEDバックライト採用のディスプレイ（PC、スマートフォン、タブレットなど）

特に、白色LEDは青色LEDに蛍光体を組み合わせて白色光を生成しているため、HEVの含有量が多くなる傾向があります。

HEV対策

HEVの影響を軽減するために、以下のような対策が考えられます。

HEVカットフィルターやレンズの使用
画面の明るさ調整
夜間の画面使用を控える
概日リズムを整える（朝日を浴びるなど）

ブルーライトカット眼鏡について

ブルーライトカット眼鏡は、HEVを減衰させる効果が期待されていますが、眼精疲労や視神経炎の発症率に有意な効果が見られないという報告もあります。また、子供への推奨に関しても、日本眼科学会などの団体が否定的な見解を示しています。

まとめ

HEVは、私たちの生活に欠かせない光の一部である一方、過剰な暴露は健康に影響を与える可能性があります。HEVの特性を理解し、適切な対策を行うことが重要です。ただし、現時点ではHEVに関する研究は発展途上にあり、今後の研究結果に注目する必要があります。

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