高俅

高俅（こう きゅう）について

高俅（Gāo Qiú）は、北宋末期において名を馳せた政治家で、徽宗治世下で殿帥府太尉を努めた。この人物はまた、中国古典小説『水滸伝』における登場人物としても有名です。本作において、高俅は権力を乱用する悪役として描かれていますが、歴史上の彼の栄光と影の部分を知ることは、当時の社会状況を理解する上でも重要です。

高俅の生い立ち

『宋史』によれば、高俅の父は高敦復であり、彼は数人の兄弟と4人の息子がいる家庭に生まれました。兄弟たちの名前には共通して「人偏」がついていることが記録されています。高俅は、当初「高二」という名で知られ、遊郭のような生活を送りながらも、筋の通った人物であることが後の歴史に影響を与えました。

彼は多くの有力者たちの間で食客として転々とし、最終的には英宗の女婿・王詵の食客となりました。そこでの成功を経て、より高い地位を目指すことになります。彼が成り上がるきっかけとなったのは、端王（後の徽宗）に出会い、彼に蹴鞠の技を見せたことです。この才能が評価され、徽宗の側近として仕えることとなります。

政治的な出世

徽宗の即位後、高俅は副軍官として宮中に昇進し、権力を手中に収めていきます。彼は禁軍の指揮権を握り、軍費を横領し、権力者たちのために私利私欲のために兵力を利用するようになりました。これは、禁軍を弱体化させ、国の安全に大きな影響を与えました。

また、1105年、徽宗が遼へ使者を送った際、高俅も副使に任命され、彼の行動が後に戦争の引き金となる案件に関与していたこともあります。結果として、徽宗はその一連の騒動に怒りを覚え、一時的に蔡京を罷免する事態にまで発展しました。

最後の日々と悲劇的な死

1125年、金の太宗が開封を陥落させ、徽宗らが捕らえられる中、高俅は病に倒れてしまいます。彼の死は、時代の終焉と乱世の兆しを象徴していました。高俅が亡くなると、彼の功績は歴史的な評価を受けることはなく、死後すぐに官職を剥奪されました。更に、開封の陥落時には彼の一族や家財が没収され、彼の名は悪名と共に歴史に刻まれることとなります。

『水滸伝』における高俅

高俅は『水滸伝』での描写において、四姦臣の一人として登場し、彼の立場から数々の悪行を重ねていきます。物語の中では高俅は高い地位にいるにも関わらず、権力を私的に利用し、他の登場人物たちに対して恨みを買う様子が詳述されています。特に、自身の養子が猟官に横恋慕することで冤罪をはらし、他者の人生を狂わせるところは高俅の悪役としての典型的な姿勢を如実に表しています。彼は物語の最終回では無事に生き延びますが、その後の二次創作では罰を受け、惨たらしい最期を遂げる描写も存在します。

総括

高俅は、中国の歴史と文学において特異な存在であり、悪の象徴とされる一方で、いかにして権力が人を変えるのかを考える上でも重要な役割を果たしています。彼の人生からは、権力に執着することがどれほどの悲劇を生むのか、また、個人の名声がどのように世の中で通用するのかを考察する余地が伴っています。

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