高倉山古墳 (伊勢市)

高倉山古墳について

高倉山古墳（たかくらやまこふん）は、三重県伊勢市豊川町にある円形の古墳で、伊勢市指定の史跡です。この古墳は、特にその大規模な横穴式石室で知られており、現在は伊勢神宮外宮（豊受大神宮）の神域内に位置しているため、立ち入りが制限されています。

古墳の概要

高倉山古墳は、伊勢市の中部にある高倉山の山頂（標高116メートル）に築かれました。古文書にこの地の石窟が記載されるのは鎌倉時代まで遡り、江戸時代には天岩戸として信仰の対象になった過去があります。そのため、墳丘は長年の間に流出や削平を受け、現在の形に改変されました。1975年には発掘調査が行われ、墳形は直径35メートル以上、高さ7.5メートル以上と推定されています。

この古墳の特徴的な点は、南西に開口する両袖式の横穴式石室です。この石室は全長18.5メートルを誇り、伊勢地方で最大の規模を誇ります。全国的に見ると、石室の全長は第6位、玄室の床面積は第2位に当たります。また、墳丘の表面には葺石や埴輪は確認されていません。

埋葬施設

高倉山古墳の埋葬施設は、両袖式の横穴式石室であり、玄室は長さ9.7メートル、幅3.3メートル、高さ4.1メートルを測ります。羨道は8.8メートル、幅は1.9から2.6メートル、高さは3.3メートルです。この石室は自然石を用いて構築されており、斜めに積まれた側壁や独特の天井石の形態が特徴です。埋葬の主体が石棺か木棺かは明確ではありません。

出土品

1975年の発掘調査では、石室内部から数多くの副葬品が見つかりましたが、その多くは盗掘により失われています。出土した品々には金環や玉類、馬具、大刀、刀子、鏃、須恵器や土師器などが含まれ、これらの遺物は6世紀後半から7世紀初頭のものであるとされています。また、江戸時代には天岩戸信仰が盛んになり、石室の二次利用によって鉄釉の徳利や灯明皿、銭貨も出土しています。

文化財としての位置付け

高倉山古墳は1973年に伊勢市指定の文化財として認定され、現在も神域内にあり立ち入りが制限される特性があります。これにより、古墳の保護と保存が図られています。

考古学的見解

この古墳の存在は、古代の度会氏（磯部氏）との関連性が指摘されており、特にその規模と位置取りから伊勢神宮の外宮との関係が考慮されています。また、古墳時代後期からの祭祀の影響を受けた可能性も示唆されています。高倉山古墳は、周辺地域における古代の政治的および宗教的な重要性を示す遺構として位置づけられています。これらの観点から、この古墳は重要な文化財として多くの学術的研究の対象となっています。

高倉山古墳は、古代日本の歴史と文化を探求するうえで、重要な鍵となる遺跡の一つであり、未来の研究にも期待が寄せられています。

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