高倉新一郎

高倉新一郎について

高倉新一郎（たかくら しんいちろう）は1902年11月23日に北海道帯広市で実業家の父、高倉安次郎の下に生まれ、1990年6月7日に亡くなった、日本の著名な農業経済学者および歴史学者です。北海道大学の名誉教授として、主に農業経済学、北海道史、アイヌ文化史に関する多くの業績を残しました。

学歴と職業の始まり

高倉は札幌中学校を卒業後、1920年に北海道帝国大学（現在の北海道大学）に入学しました。農学部に所属し、高岡熊雄教授の指導を受け、農政学や植民学の基礎を学びました。1926年に北海道帝国大学農学部の農業経済学科を卒業した後、同大学で様々な職を歴任しました。

1926年には農学部副手に就任し、1927年には助手、1936年には助教授に昇進しました。1945年には『アイヌ政策史』を学位論文として提出し、農学博士号を取得します。翌年には教授に昇格し、植民地学講座を引き継ぐこととなりました。1953年、彼は経済学部に転属し、以降も農学部に戻りて図書館長を務めた後、1966年に同大学を退官し名誉教授となります。

その後は北星学園大学で教授として教鞭を取り、1986年には同大学を退職し名誉教授となりました。

研究業績と貢献

高倉は、自身の研究活動で収集した貴重な資料を「高倉文庫」として北海道大学に寄贈し、特に北方資料として評価されました。また、北星学園大学の退職後には、所有していた図書を「高倉文庫」として学術機関に寄贈し、その影響は広範囲に及びます。

彼の専門分野である農業経済学では、北海道を研究フィールドとして選び、「新撰北海道史」、「新北海道史」、「角川日本地名大辞典」などに編纂委員や総編集長として参加しました。特に、代表的な著作としては、『アイヌ政策史』、『北海道拓殖史』、『北海道の研究』などが挙げられ、これらは彼の学問的な貢献を象徴する作品でもあります。

受賞歴と栄誉

高倉の業績は多くの人々に認められ、1949年には北海道新聞文化賞、1969年には北海道文化賞、1984年には地域文化功労賞を受賞しました。これらの受賞は、彼の学問だけでなく、地域文化への深い理解と貢献を評価した結果となっています。

家族背景

高倉新一郎の父、高倉安次郎は地域の産業振興と地域公共の活動に尽力した実業家であり、北海道議会議員としても活躍しました。このような家庭環境が、高倉の学問への関心を育んだとも言えるでしょう。

まとめ

高倉新一郎は、日本の農業経済学と歴史研究において大きな影響を与えた学者であり、特に北海道とアイヌ文化に関連した研究で広く知られています。彼の業績は今も多くの学問的な場に影響を与えており、その遺産は後世に受け継がれています。

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