高屏渓斜張橋

高屏渓斜張橋（こうへいけいしゃちょうきょう）とは

高屏渓斜張橋は、台湾の高雄市大樹区と屏東県九如郷の境界を流れる高屏渓に架かる、フォルモサ高速公路（国道3号）の道路橋です。この橋は、フォルモサ高速公路の燕巣ジャンクションと九如インターチェンジの間に位置し、高雄市と屏東県を結ぶ重要な交通の要衝となっています。正式名称は「第二高速公路高屏渓河川橋」ですが、特に斜張橋部分の名称が広く知られています。

台湾の高速道路では初の斜張橋であり、その壮観な外観は、国道3号が屏東県に入る際の重要なランドマークとなっています。斜張橋の中国語表記は一般的に「斜拉橋」ですが、この橋は日本語の「斜張橋」をそのまま用いている点も特徴です。

沿革

この橋は、高速道路1号に次ぐ西海岸縦断の第二の高速道路「南二高」の一部として計画されました。高雄県燕巣郷（現・高雄市燕巣区）と屏東県九如郷の間で高屏渓に架橋する「国道第二高速公路後続計画」C381工区には、総工費21億3,600万ニュー台湾ドルが投じられました。

設計は交通部傘下の財団法人中華顧問工程司が担当し、施工は台湾の泛亜工程建設、利徳工程、日本の大成建設、川田工業の日台4社連合が担当しました。1996年4月29日に起工し、1,280日の工期を経て1999年12月30日に開通しました。

諸元

高屏渓斜張橋の全長は2,617メートルで、主橋となる高屏渓複合斜張橋は510メートルです。主橋はプレストレスト・コンクリート式が180メートル、ボックス・ガーダー式が330メートルの複合型となっています。アプローチスパン部は2,107メートルです。

橋面は中央部のA字型（逆Y字型とも呼ばれる）の主塔から伸びる、非対称の赤色のケーブルで支えられています。ケーブルは最も外側の2ヶ所が4本2対、それ以外は2本を一対として、橋脚から左右に14組ずつ配置されています。

橋の所在地である高屏渓両岸には60メートルの高低差があるため、地形や景観を考慮し、西端の高雄側には非対称の斜張橋が採用されました。長さは510メートルで、支間長は西端陸側のPC箱桁部が180メートル、鋼箱桁の河床側が330メートルです。幅は34.4メートル。主塔は高さ183.5メートルのA字型で、橋面は地表から50メートルの高さにあります。これは、60階建て超高層ビルに相当する高さです。

鋼材は国内製鉄大手の中国鋼鉄（中鋼、チャイナ・スチール）製で、総重量は7,800トンに達します。中鋼は鋼材を20のブロック（平均400トン）に分割し、国内の製造所で仮組み立てを行い、解体後に現場で再度組み立てました。片持ち張り出し工法によりクレーンで一つずつ吊り上げ、先行して吊り上げた桁と空中で溶接し、橋脚とケーブルを接続する手法が繰り返されました。工事期間中には台風5回、洪水3回、地震2回に見舞われましたが、これらの災害による事故は発生しませんでした。

落成時点では、台湾初となる複合式斜張橋であり、『非対称型かつ単主塔』としてはアジア最長となりました。また、斜張橋支間長は、ドイツ・デュッセルドルフのライン川に架かるフレーエ橋に次いで世界第2位でした。

台湾国内の中国工程師学会が主催する1999年度「工程優良奨」にも選出されています。

ギャラリー

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脚注

[外部リンク]

高雄大樹斜張橋夜景

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