高山美香 (イラストレーター)
高山 美香（たかやま みか）は、1969年（昭和44年）に北海道札幌市に生まれた日本のイラストレーター、人形作家です。
主に書籍や雑誌の分野でイラストレーションを手がける傍ら、日本の文豪や歴史上の偉人たちを題材とした精巧な粘土人形を制作し、広く注目を集めています。
幼い頃から絵を描くことに親しみ、「一日中絵を描いていた」と本人は語っています。印刷会社での勤務経験を経て、ショッピングセンター主催のコンテストで大賞・準大賞を受賞したことを機に、フリーランスのイラストレーターとして活動を始めました。
転機となったのは、2004年（平成16年）頃のことです。書籍や雑誌のイラスト制作に携わる中で、時間の経過により風合いを増した古い物や、幼少期からの読書経験に根差す文学への関心に対する意識が高まりました。これを表現する新たな試みとして、文豪や偉人をモチーフにした高さ約15センチメートルの粘土人形の制作を開始します。
最初に制作した芥川龍之介の人形が、写真を見ながら作ったにも関わらず全く似ていなかったことから、対象となる人物の内面や背景をより深く理解する必要性を痛感したといいます。以降、図書館に通い詰め、関連書籍を数十冊も借りて、作家たちの生涯や人となりに関する徹底的なリサーチに没頭するようになりました。本人はこうした地道で細やかな制作過程を指して、自らの人形を愛情込めて「ちまちま人形」と呼んでいます。
アルバイト情報誌に連載していたコラム『ミニちま偉人伝』が、北海道にある市立小樽文学館の関係者の目に留まり、同館で開催される特別展での人形制作を依頼される運びとなりました。
2007年（平成19年）、小樽文学館で開催された特別展『石川啄木と小樽日報』展に出品された、下宿屋でくつろぐ石川啄木の人形が大きな話題を呼んだのです。翌2008年（平成20年）には、同館で個展となる特別展『小樽ちまちま文豪展 高山美香ミニチュア人形の世界』が開催され、その好評を受けて数体の人形が同館に常設展示されることとなり、多くの来館者に繰り返し足を運ばせるきっかけとなりました。
2009年（平成21年）には、自身初の作品集となる『一葉のめがね』（猫の事務所）を刊行しました。この作品集には、表紙に登場する樋口一葉をはじめ、総勢53人の作家や歴史上の人物をモデルにした人形の写真に加え、それぞれの人物にまつわる興味深いエピソードやイラストが収められています。
書名の『一葉のめがね』は、「樋口一葉は実際には強い近視であったが、人前で眼鏡をかけるのを避け、裸眼で過ごしたとされる」という逸話に由来しており、作家たちの知られざる素顔や人間性に光を当てるという、高山の制作姿勢を象徴しています。初版3千部が完売した後も、全国の図書館などから注文や問い合わせが相次ぐほどの人気を博し、その勢いを受けて2014年（平成26年）には第2弾となる作品集『鷗外のやかん』（猫の事務所）が刊行されました。
この他、2011年4月から2013年3月にかけては、朝日新聞北海道版でイラストエッセイ『北の文人立ち話』を連載するなど、多岐にわたる活動を展開しています。
高山の人形が多くの人々に支持される理由としては、まずイラストレーターとしての観察眼が生かされたユニークな着想や、対象となる人物の人間性に焦点を当てた独自の視点による逸話の紹介が挙げられます。また、一体の人形を制作するために何冊もの関連書籍を読み込むという徹底したリサーチに基づいた、人物を取り巻く小道具や衣装の細部へのこだわりも、作品に深みを与えています。
小樽市以外にも、札幌市や東京都など、日本各地で定期的に作品展が開催され、その世界観を紹介しています。
各地の文学館からの依頼も多く、例えば福井県ふるさと文学館からは、同県ゆかりの歌人である山川登美子や詩人の則武三雄の人形制作を依頼されています。また、山梨県立文学館には、学校への貸し出し教材として活用するため、山梨出身の俳人である飯田蛇笏・龍太父子の人形を納入するなど、教育普及にも貢献しています。
特に活動の初期から深い関わりを持つ小樽文学館からは、「年間入館者数を著しく増加させたほどの人気」「文豪や歴史上の人物に対する親しみが湧く」「これまで馴染みの薄かった作家にも、人形の魅力を通じて関心を持ってもらえている」など、その功績と作品の影響力について高く評価されています。
高山自身も、トークショーなどで「小樽は、まだ無名だったイラストレーターだった私の作品をいち早く高く評価してくれた特別な街です。文化的な雰囲気も豊かで、小樽での個展には特に力を入れて制作に取り組んでいます」と語っており、同市への深い愛着を示しています。
『一葉のめがね』猫の事務所、2009年8月8日。
『鷗外のやかん』猫の事務所、2013年12月20日。
* 高山 美香 (@takayamamika) - X（旧Twitter）
主に書籍や雑誌の分野でイラストレーションを手がける傍ら、日本の文豪や歴史上の偉人たちを題材とした精巧な粘土人形を制作し、広く注目を集めています。
経歴と人形制作の始まり
幼い頃から絵を描くことに親しみ、「一日中絵を描いていた」と本人は語っています。印刷会社での勤務経験を経て、ショッピングセンター主催のコンテストで大賞・準大賞を受賞したことを機に、フリーランスのイラストレーターとして活動を始めました。
転機となったのは、2004年（平成16年）頃のことです。書籍や雑誌のイラスト制作に携わる中で、時間の経過により風合いを増した古い物や、幼少期からの読書経験に根差す文学への関心に対する意識が高まりました。これを表現する新たな試みとして、文豪や偉人をモチーフにした高さ約15センチメートルの粘土人形の制作を開始します。
最初に制作した芥川龍之介の人形が、写真を見ながら作ったにも関わらず全く似ていなかったことから、対象となる人物の内面や背景をより深く理解する必要性を痛感したといいます。以降、図書館に通い詰め、関連書籍を数十冊も借りて、作家たちの生涯や人となりに関する徹底的なリサーチに没頭するようになりました。本人はこうした地道で細やかな制作過程を指して、自らの人形を愛情込めて「ちまちま人形」と呼んでいます。
活動の広がりと評価
アルバイト情報誌に連載していたコラム『ミニちま偉人伝』が、北海道にある市立小樽文学館の関係者の目に留まり、同館で開催される特別展での人形制作を依頼される運びとなりました。
2007年（平成19年）、小樽文学館で開催された特別展『石川啄木と小樽日報』展に出品された、下宿屋でくつろぐ石川啄木の人形が大きな話題を呼んだのです。翌2008年（平成20年）には、同館で個展となる特別展『小樽ちまちま文豪展 高山美香ミニチュア人形の世界』が開催され、その好評を受けて数体の人形が同館に常設展示されることとなり、多くの来館者に繰り返し足を運ばせるきっかけとなりました。
作品集の刊行
2009年（平成21年）には、自身初の作品集となる『一葉のめがね』（猫の事務所）を刊行しました。この作品集には、表紙に登場する樋口一葉をはじめ、総勢53人の作家や歴史上の人物をモデルにした人形の写真に加え、それぞれの人物にまつわる興味深いエピソードやイラストが収められています。
書名の『一葉のめがね』は、「樋口一葉は実際には強い近視であったが、人前で眼鏡をかけるのを避け、裸眼で過ごしたとされる」という逸話に由来しており、作家たちの知られざる素顔や人間性に光を当てるという、高山の制作姿勢を象徴しています。初版3千部が完売した後も、全国の図書館などから注文や問い合わせが相次ぐほどの人気を博し、その勢いを受けて2014年（平成26年）には第2弾となる作品集『鷗外のやかん』（猫の事務所）が刊行されました。
この他、2011年4月から2013年3月にかけては、朝日新聞北海道版でイラストエッセイ『北の文人立ち話』を連載するなど、多岐にわたる活動を展開しています。
人気の要因と各地での活動
高山の人形が多くの人々に支持される理由としては、まずイラストレーターとしての観察眼が生かされたユニークな着想や、対象となる人物の人間性に焦点を当てた独自の視点による逸話の紹介が挙げられます。また、一体の人形を制作するために何冊もの関連書籍を読み込むという徹底したリサーチに基づいた、人物を取り巻く小道具や衣装の細部へのこだわりも、作品に深みを与えています。
小樽市以外にも、札幌市や東京都など、日本各地で定期的に作品展が開催され、その世界観を紹介しています。
各地の文学館からの依頼も多く、例えば福井県ふるさと文学館からは、同県ゆかりの歌人である山川登美子や詩人の則武三雄の人形制作を依頼されています。また、山梨県立文学館には、学校への貸し出し教材として活用するため、山梨出身の俳人である飯田蛇笏・龍太父子の人形を納入するなど、教育普及にも貢献しています。
特に活動の初期から深い関わりを持つ小樽文学館からは、「年間入館者数を著しく増加させたほどの人気」「文豪や歴史上の人物に対する親しみが湧く」「これまで馴染みの薄かった作家にも、人形の魅力を通じて関心を持ってもらえている」など、その功績と作品の影響力について高く評価されています。
高山自身も、トークショーなどで「小樽は、まだ無名だったイラストレーターだった私の作品をいち早く高く評価してくれた特別な街です。文化的な雰囲気も豊かで、小樽での個展には特に力を入れて制作に取り組んでいます」と語っており、同市への深い愛着を示しています。
著作
『一葉のめがね』猫の事務所、2009年8月8日。
『鷗外のやかん』猫の事務所、2013年12月20日。
外部リンク
* 高山 美香 (@takayamamika) - X（旧Twitter）
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