高島宏平

高島 宏平

1973年8月15日生まれ、神奈川県出身。高島宏平は、日本の食材宅配サービス大手であるオイシックス・ラ・大地株式会社の創業者として知られる実業家です。その活動は食の領域にとどまらず、社会課題の解決や地域活性化、文化支援、パラスポーツ振興など、多岐にわたっています。

事業家としての歩み

東京大学大学院工学系研究科で情報工学を修了後、1998年にコンサルティングファームであるマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。黎明期にあったEコマース分野で専門性を磨き、組織構築や企業間の連携戦略に携わりました。2000年には「一般家庭における豊かな食生活の実現」を目指し、マッキンゼーを退社してオイシックス株式会社を設立。顧客の視点に立ち、生産者との連携を重視した革新的なサービスを提供し始めました。

オイシックスは順調に成長を遂げ、2013年には東証マザーズへの上場を果たします。その後も事業領域の拡大や強化を積極的に進めました。2016年には高齢者などの買い物困難者向けの移動スーパー「とくし丸」を子会社化し、同社の会長も務めています。2017年には株式会社大地を守る会、2018年にはらでぃっしゅぼーや株式会社との経営統合を成功させ、現社名であるオイシックス・ラ・大地株式会社となりました。さらに、海外のヴィーガン食ミールキット宅配事業「Purple Carrot」の買収や、ケータリング事業、食品関連企業との業務提携（NTTドコモ、大戸屋ホールディングスなど）、資本提携（DEAN & DELUCA運営会社、ゆとりの空間など）を通じて事業の多角化と基盤強化を推し進めています。市場も東証一部を経て、現在はプライム市場に移行しています。

社会貢献への尽力

高島氏は、ビジネスを通じて社会課題解決に貢献することにも並々ならぬ意欲を示しています。2007年にはNPO法人TABLE FOR TWO Internationalの設立に携わり、先進国の健康的な食習慣推進と開発途上国の子どもたちへの学校給食支援を結びつける画期的な活動を開始しました（現在は創設者）。

東日本大震災後の2011年には、被災した東北の食品産業を長期的に支援するため、一般社団法人東の食の会の発起人・代表理事となり、復興支援活動に尽力。また、生産者への感謝をテーマにした「東京ハーヴェスト」イベントの実行委員長も務め、食文化の振興にも寄与しています。2016年にはNPO法人越後妻有里山協働機構の副理事に就任し、地域アートフェスティバルなどを通じた地域活性化にも取り組んでいます。

多様な分野でのリーダーシップ

さらに、高島氏はその活動範囲を広げ、スポーツ振興や社会インフラ整備にも関わっています。2018年からは一般社団法人日本車いすラグビー連盟の理事長として、経済界からの支援を通じてパラスポーツの認知度向上や競技団体運営の強化に貢献しています。また、2022年からは一般社団法人Data for Social Transformationの共同代表理事として、社会課題解決に向けたデータ活用の可能性を探求しています。

経済界の主要団体である経済同友会においても要職を歴任。2017年には東京オリンピック・パラリンピック2020委員会の委員長を務め、大会成功とレガシー創出に向けた提言を行いました。社会保障改革や政治・行政改革、広報、共助資本主義の実現といった重要テーマに関する委員会の委員長や、副代表幹事としても経済界の意見形成と発信を牽引しています。

その他の活動と評価

事業経営や社会貢献に加え、株式会社ベネッセホールディングスやシダックス株式会社の社外取締役を務めるなど、他社の経営にも関与。2024年には、プロ野球イースタン・リーグに参入するオイシックス新潟アルビレックス・ベースボール・クラブの代表取締役会長に就任予定であると発表されるなど、新たな分野への関わりも広がっています。同年4月にはシダックス株式会社の代表取締役副社長に就任しました。

その革新的な経営手腕と幅広い社会活動は高く評価されており、日本オンラインショッピング大賞グランプリ、企業家賞、ポーター賞など数々の賞を受賞。2007年には世界経済フォーラム（ダボス会議）のYoung Global Leadersにも選出されています。また、著書やメディア出演を通じて、自身の経験や考えを発信し続けています。

高島宏平氏は、食という身近なテーマを起点に、ビジネスの力を用いて社会全体をより良くするための多角的な挑戦を続ける、影響力のある実業家と言えるでしょう。

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