高島 (長崎県長崎市)

長崎県の孤島、高島：炭鉱の島から観光の島へ

長崎県長崎市に属する高島は、九州北西部の長崎半島西沖合に位置する島です。面積約1.23平方キロメートル、穏やかな気候と美しい景観が特徴です。かつては高島炭鉱が島の経済を支えていましたが、閉山後は人口減少に直面し、現在は観光や農業を基軸とした島の活性化が課題となっています。

高島の歴史と変遷

高島は、古くから人が住んでいたという伝説が残されていますが、江戸時代以前の定住者の記録は確認されていません。江戸時代には佐賀藩の領地となり、長崎港の警備のための遠見番所が設置されました。1695年（元禄8年）、島内で石炭が発見され、伊万里・波佐見の製陶業の燃料として利用されるようになりました。

明治時代に入ると、英国人商人トーマス・グラバーらの参入により、高島炭鉱は本格的な近代炭鉱として開発されました。最盛期には従業員3,000人を超え、年間出炭量は127万トンに達しました。しかし、時代の変化や事故などを経て、1986年に閉山。この閉山は、島の社会構造と経済に大きな影響を与え、人口減少を招きました。

高島の自然と地理

高島は、古第三紀の高島層から形成された島で、最高峰は権現山（114m）です。北側は急な崖が特徴的なケスタ地形となっています。かつては高島本島と上二子島、下二子島、飛島の4つの島がありましたが、炭鉱の廃棄物による埋め立てや防波堤の建設により、現在は陸続きとなっています。温暖多雨な気候ですが、水資源が不足しているため、対岸から海底送水管で水を供給しています。

高島の産業と観光

高島炭鉱閉山後は、磯釣り公園の整備など観光開発が進められています。近年は、ハウス栽培によるトマト生産も盛んです。島には、かつて高島町が設置した高島市場がありましたが、老朽化のため2023年3月末に閉鎖されました。また、宿泊施設として「しまの宿 五平太」がありましたが、老朽化のため2023年9月末に閉館し、現在、島内に宿泊施設はありません。

高島の交通とアクセス

高島へのアクセスは、長崎港から長崎汽船の高速船を利用し、約35分です。島内には、長崎市コミュニティバス高島線が運行されています。

高島の観光スポット

高島には、歴史と自然を感じられる観光スポットがあります。グラバー別邸跡や北渓井坑跡は、明治日本の産業革命遺産として世界遺産に登録されています。また、長崎市高島石炭資料館や高島いやしの湯など、島ならではの施設もあります。

高島の未来

高島は、歴史的遺産と豊かな自然を活かした観光、農業などを組み合わせ、島の活性化を目指しています。高齢化が進む中で、若い世代の定住促進や、新たな産業の創出が今後の課題となっています。しかし、独特の景観や文化、そして人々の温かさなど、高島には魅力が数多く存在し、これからも独自の道を歩んでいくことでしょう。

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