第三紀

第三紀（Tertiary）について

第三紀は地質時代の一つであり、絶対年代ではおよそ6430万年前から260万年前に当たります。この時代は国際地質科学連合（IUGS）によって「非公式用語」として位置づけられていますが、地質学的には重要な時期であり、三紀層という名称でも知られます。

概要

第三紀の概念は18世紀中頃にイタリアの地質学者、ジョヴァンニ・アルドゥイノによって提唱されました。彼はイタリア南アルプスの地層とその化石を分析し、地質時代を三つに分けることを提唱しました。これにより、地質時代は次の三つの時代に区分されました。

1. 第一紀（Primario） - 化石が発見されない時代。
2. 第二紀（Secondario） - 化石は出るものの、現生序列からは外れた生物が存在する。
3. 第三紀（Terziario） - 現生生物により近い化石が見つかる。

その後、第三紀はさらに二つの時代に細分化され、古第三[[紀]]（Paleogene）と新第三[[紀]]（Neogene）が定義され、第四[[紀]]（Quaternary）が追加されました。長い間、第三紀は白亜[[紀]]の後に位置する新生代の第一の時代とみなされてきましたが、1989年にはIUGSがこの区分を見直し、Tertiaryという用語を正式な用語からは外しました。これにより、新生代は古第三[[紀]]、新第三[[紀]]、第四[[紀]]という三つの時代に再編成されました。

日本語においても、古第三[[紀]]はPaleogene、新第三[[紀]]はNeogeneと訳されますが、この新しい定義が2009年に了承された後も一部で「第三紀」という用語が使われ続けています。また、「古成紀」や「新成紀」、「古獣紀」や「新獣紀」といった提案もありますが、まだ正式な方針には至っていません。

地理

この時代の初期、ローラシア大陸とゴンドワナ大陸の間にはテチス海が存在しました。しかし、インド、アラビア、アフリカの各プレートが北へ動くにつれて、この海は消失していきました。新しい陸地が形成され、アルプス山脈やヒマラヤ山脈が生じました。また、ゴンドワナ大陸が何回かの分裂を経ていくつかの大陸に解体される中で、オーストラリアと南極大陸は漸新世まで隣接していました。

さらに、ローラシア大陸は始新世の初めに北大西洋が拡大することにより分裂し、北アメリカとグリーンランドがヨーロッパから切り離されました。こうした地理的変動が生物の進化に大きな影響を与えました。

気候と生物相

第三紀を通じて、地球の生物相は劇的に変化しました。ツンドラ、針葉樹林、落葉樹林、草原、熱帯雨林などの主要な植物区分が確立され、これは地球上の環境形成に重要な役割を果たしました。特にこの時代には、メガロドンのような大きな生物も存在しており、さらに多様な生態系が発展しました。

このように、第三紀は地質学的に重要な時代であり、様々な生物が現在の地球環境の基盤を形成する過程を辿った時代でもあります。

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