高度計規正値

高度計の規正値とは

高度計規正値（こうどけいきせいち）とは、気圧高度計の設定を行うための値であり、高度ゼロの際に対応する気圧を示します。気圧高度計は、国際標準大気の原則に基づいて気圧を高さに置き換えて使用されますが、実際の気圧は気象条件によって変動するため、正確な高度を把握するために補正が必要です。

高度計規正値の種類

高度計の規正値は一般的に、QNH、QFE、QNEの3種類に分類されます。日本国内では主にQNHとQNEが利用されていますが、これらのコードは特定の英語の略語ではなく、単なる符号です。

QNHの概要

QNH（海面更正気圧）は、飛行場標高における気圧高度計の示度が正確な海抜標高を示すように調整されるための規正値です。具体的には、平均海面より3メートル（または10フィート）で正確な高度を示すための気圧値となります。これにより、航空機は地上からの高度を正確に把握できるようになります。

こうした設定は、管制塔から提供される海面気圧値を基に行われ、高度計の気圧セット・ノブを操作することで実現します。QNHのセッティングを行った後、航空機はその空港の滑走路を離陸しますが、飛行中に海面気圧が変わる場合、高度計の指示と実際の高度が異なることが生じます。このため、定期的に管制塔から気圧情報を受けて設定を修正し、他機との適切な高度差を保つことが求められます。

QFEの概要

QFEは、飛行場の正確な地上高度を得るための規正値であり、具体的には飛行場における気圧を示します。QFEセッティングにおいては、制御塔で提供される気圧値により高度計が設定され、高度計の指示が0フィートに合わせられます。このため、QFEは主に中国やロシア、またその周辺地域で使用されており、特に離着陸訓練などで利用されることが多いです。

QNEの概要

QNEは、国際的な基準として設定された気圧、すなわち「1013.2ヘクトパスカル（hPa）」を基にした規正値です。この設定は主に高高度における航空機の管制に使用され、QNEセッティングを行うことで、高度計は常にこの基準に基づいた指示をします。さらに、QNE設定の高度はフライト・レベルとして知られており、通常は飛行高度が18,000フィート以上の状況で用いられます。

転移高度と転移レベル

航空機は通常、離陸後の低高度でQNHあるいはQFEセッティングを使用しますが、一定高度に達するとQNEセッティングに切り替える必要があります。この切り替えを行う高度が転移高度（TA）と呼ばれ、一方、上空から降下時にQNEからQNHやQFEに切り替えるフライトレベルを転移レベル（TL）と言います。これらの値は国や地域により異なるため、注意が必要です。

日本における高度計規正の実務

日本国内では、出発地での高度計設定はその飛行場固有のQNHに基づいて行われます。通常は水銀柱インチ（inHg）で提供されるデータを参照し、もしQNHの値が入手できない場合には出発地点の標高に合わせることとなります。また、14,000フィート以下での飛行中は、経路上の地点のQNHに従って高度計を調整し、空域が変われば随時新たなQNH値が提供されます。

最終的に、14,000フィートを超える高度に達した際は、適切にQNEに設定を切り替える必要があり、その後の降下中も同様に行われます。これにより、安全な航空運行が維持されるのです。

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