フライト・レベル

フライト・レベル (Flight Level, FL)

フライト・レベルは、航空機の飛行高度を示す重要な指標です。具体的には、FLの後に100フィート単位の数値を付けて表現され、例として「FL290」などが挙げられます。この表現は、国際標準大気の基準に基づいて調整された気圧高度計を用いて得られ、航空機同士の標準的な高度の理解を助ける役割を果たします。ただし、フライト・レベルは必ずしも実際の海面からの高度を示すものではなく、あくまで航空機が飛行する際の基準概念であることを理解する必要があります。

背景

航空機の高度を測定するためには、気圧が高度と共に変化する特性を利用した気圧高度計が広く使用されています。しかし、気圧は地域や時間によって異なるため、出発地が異なる航空機であれば、各々異なる気圧を読み取り、それに基づく気圧高度計の値が一致しない場合があります。この問題解決のために、国際民間航空機関（ICAO）は、全ての航空機で国際標準大気に基づいた同一のセッティングで気圧高度計を調整することを提唱しました。その調整方法がQNEセッティングであり、これによりフライト・レベルが定義されます。

フライト・レベルは、海面からの真の高度とは異なり、FL320（フライトレベル320）は必ずしも海抜32,000フィートを示すものではありません。この基準により、同一の大気モデルを使用することで、航空機同士の適切な垂直間隔を維持し、空中衝突の防止が達成されています。

転移高度と転移レベル

フライト・レベルには、転移高度（TA）と転移レベル（TL）が存在します。航空機が上昇する途中でQNHからQNEに切り替える高度を転移高度、逆に下降時にQNEからQNHに戻す際のフライト・レベルを転移レベルと呼びます。これらの基準は国毎に異なり、その間の空域を転移層と呼び、各国ごとに最低限維持すべき垂直間隔が決まっています。

各国の適用範囲

日本では、平均海面から14,000フィート未満ではQNHが使用され、それ以上はQNEが適応されます。アメリカやカナダではこの境界が18,000フィートです。欧州においては、国毎や地域毎にTAの設定が異なり、3,000フィートとする国もあれば、国内でも地域によって異なる場合もあります。また、一部の国では下降時のTLが可変で、各ATCからの指示が飛行機に行われます。

垂直間隔

航空機間の垂直間隔は、飛行形式や方向に応じた基準が定められています。日本では、IFR（計器飛行方式）機による飛行の際、東西方向に分けて、1,000フィートの奇数倍または偶数倍のフライト・レベルが指定されています。この方式は「semicolonial rule」と呼ばれ、国によっては異なる方位の基準を採用している場合もあります。例えば、英国では3,000フィート以上FL195未満のIFR機に対し四分円方式で高度を割り当てています。

短縮垂直間隔（RVSM）

FL290以上の高度では、かつては2,000フィート間隔が原則でしたが、空の交通量増加に応じてFL290とFL410の間でこの間隔を1,000フィートにまで短縮するRVSMが導入されています。この制度により、フライト可能高度が大きく増加しました。RVSMは各国で導入され、特に日本や欧州、アメリカなどで広まりました。

メートル法に基づくフライト・レベル

中国、北朝鮮、モンゴル、ロシア及びCIS諸国ではメートル法に基づく航空管制が行われており、フライト・レベルの表現もメートルで使用されることがあります。特に、中国と北朝鮮では特定の高度範囲内においてRVSMが適用されています。

結論

フライト・レベルは航空機の安全な運行に欠かせない指標であり、国ごとの規則や基準に注意を払うことが求められます。航空機が安全に運行できるよう、各国は共通の基準のもとで航空交通管制を実施する重要性がますます高まっています。

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