高木正征

高木 正征について

高木正征（たかぎまさゆき、もしくは「せいせい」、1904年5月17日 - 1994年6月1日）は日本の陸上競技、特に短距離走で知られる選手です。彼は極東選手権競技大会で100メートル、100ヤード、220ヤードにおいて好成績を収め、また日本記録を数回打ち立てるなど、その才能が高く評価されていましたが、旧制山形高等学校在学中に事実上競技を引退しました。

来歴

高木は東京府の赤坂に生まれ、父は丹南藩の分家にあたる高木正秋でした。幼少期には豊かな環境で育ち、高樹町と呼ばれる地域に住んでいました。彼が陸上に目覚めたのは、暁星中学校に在籍していた時期で、ここで本格的に陸上競技に取り組みます。中学時代には同級生から激励を受け、1921年の日本陸上競技選手権大会で100メートルに於いて11秒2で優勝し、日本タイ記録を打ち立てます。これにより、日本体育協会からも注目を集め、東京帝国大学でのトレーニングを受ける機会を得ます。

1922年には関東予選で11秒0の日本新記録を樹立し、1923年の極東選手権競技大会でも2位に入賞。母からの褒美としてオートバイを貰うも、両親はさらに深く競技に取り組むことを懸念し、進学を望む姿勢を示します。こうして高木は受験勉強に専念することとなりました。

1924年には青山学院高等部に進学し、ここでも陸上で優勝を重ねました。その後、両親を説得し山形高等学校に進学。また、この学校で再び好成績を収め、新たな日本記録も樹立しますが、1925年に高木の11秒0の記録は更新されます。高木は1927年には10秒8で新たなタイ記録を獲得し、さらには200メートルでも日本新記録となる21秒9を樹立しました。

極東選手権競技大会への選出は悩みましたが、最終的には同大会でも入賞を果たします。しかし、この成功の裏には国内での様々な困難があり、その後高木は陸上競技を離れる決断をします。

引退の理由

高木の選手生命が終わりを告げた理由は複雑です。彼はある大会でスタート時に妨害を受けたと感じ、その後同様の状況が続くことから不信感を抱くようになりました。極東選手権での不正疑惑や周囲の競技者に対する不信も影響し、高木は陸上から距離を置く決断を下しました。

選手としての特徴

高木は他の多くのスプリンターと違い、トレーニング方法や走り方を細かく研究することはありませんでした。彼はレースの後半に強さを発揮するスプリンターとして知られ、特に80メートルあたりからスピードを上げることを目標にしていました。彼に影響を受けた若い選手に対する激励の言葉も多く残しており、その情熱的な姿勢は今でも評価されています。

このように高木正征は短距離走界において重要な役割を果たしながらも、様々な事情から競技から身を引き、その後の人生に新たな道を歩みました。卒業後は三井生命保険でのキャリアを築き、戦争を過ごしつつ、リッカーミシンの顧問としても活動を続けました。彼の人生は、陸上競技を通じた成功と同時に、多くの試練を伴ったものでした。

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