高木盛之輔

高木盛之輔：会津の魂を受け継ぎ、時代を駆け抜けた武士

高木盛之輔（1854年 - 1919年）は、激動の時代を生きた会津藩士であり、検察官という異色の経歴を持つ人物です。戊辰戦争と西南戦争という二つの大きな戦いに参加し、明治維新後は法曹界に進み、社会に貢献しました。また、教育者としての一面も持ち、郷土の発展に尽力した彼の生涯を紐解きます。

武士としての覚悟と献身

会津藩士の家柄に生まれた高木は、戊辰戦争に少年ながらも従軍。会津藩降伏後は、同志と共に主君への寛大な措置を求めて奔走するなど、大胆な行動も見られました。西南戦争では、山川浩のもとで戦い、その心境を歌に詠んでいます。

検察官としての活躍

戦後、高木は検察官として各地の裁判所に勤務。検事正として退官するまで、その職務を全うしました。武士から法曹家へという転身は、当時の社会においても珍しいものであり、彼の適応力と向上心の高さを物語っています。

教育への情熱

高木は、郷里である会津の教育の発展に強い思いを持っていました。私財を投じて中学校の創設に尽力し、会津地方各地でその必要性を訴えました。その結果、私立会津中学（現：福島県立会津高等学校）の開校に結びつき、多くの若者が学ぶ機会を得ました。彼の教育への情熱は、会津の未来を担う人材育成に大きく貢献したと言えるでしょう。

会津の歴史を後世へ

高木は、著述家としても活動し、山川浩の伝記『櫻山集』や、戊辰戦争で自刃した伯母の伝記『沼澤道子傳』などを著しました。これらの著作は、会津の歴史や人々の生き様を後世に伝える貴重な資料となっています。また、戊辰戦争の体験記である『会津籠城中 護衛隊記』は、当時の状況をリアルに伝える貴重な記録です。

高木盛之輔は、武士としての誇り、検察官としての正義感、そして教育者としての情熱を胸に、激動の時代を生き抜きました。彼の生き様は、現代に生きる私たちに、勇気と希望を与えてくれます。

関連情報

所属団体: 会津会
墓所: 善龍寺（会津若松）

参考文献

赤間倭子『新選組・斎藤一の謎』新人物往来社、1998年
小島一男『会津人物事典 武人編』 歴史春秋社、1993年
* 『会津会会報第14号』会津会々報復刻刊行会、1979年

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