高木秀雄 (地質学者)

高木秀雄（たかぎ ひでお）

日本の地質学者。早稲田大学教育学部教授。

人物・経歴

東京都世田谷区新町に生まれ、父は地質調査所の専門家でした。幼少期を過ごした北区立王子第一小学校、北区立清至中学校を経て、東京都立文京高等学校を卒業。地質学への関心は、おそらく父の影響も受けながら育まれたと考えられます。

大学は千葉大学理学部地学科に進学し、1978年に卒業しました。さらに学びを深めるため、名古屋大学大学院理学研究科地球科学専攻の修士課程に進み、水谷伸治郎研究室で研鑽を積み、1980年に課程を修了しました。その後、同大学院の博士課程に進学しましたが、1982年にこれを中退し、早稲田大学教育学部地球科学教室に助手の職を得ました。

早稲田大学では、地質学の研究・教育者としてのキャリアを本格的にスタートさせます。1985年には理学博士の学位を取得し、研究者としての実力を確立しました。その業績が認められ、1986年には日本地質学会から研究奨励賞を受賞しています。これは、若手研究者にとって栄誉ある賞であり、今後の活躍を期待される証となりました。

1989年には、研究をさらに深めるため、ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイで訪問研究員として海外での経験を積みました。帰国後、早稲田大学教育学部地球科学教室の助教授を経て、1997年には同教授に昇任し、地質学分野における中心的な役割を担うことになります。

学術活動においては、学会の要職を歴任しました。2008年には日本地質学会の副会長に就任し、学会の運営や学術の振興に貢献しました。また、同年に日本ジオパーク委員会の顧問にも就任しており、日本の地質遺産を保護し、地域活性化に繋げるジオパーク活動の推進にも深く関わっています。国際的な評価も高く、2009年には大韓地質学会から功労賞を受賞しており、日本国外の地質学界との連携や貢献も認められています。

著作・編集・監修

研究・教育活動と並行して、多くの著作や編集・監修にも携わり、地質学の知識普及や教育に貢献しています。

主な著作としては、以下のものが挙げられます。

『基礎地質図学 : 作図と読図 改訂』（大杉徴、坂幸恭と共著）前野書店 1997年
『三陸にジオパークをー未来のいのちを守るために』早稲田大学出版部 2012年

また、以下の書籍の編集や監修も手掛けています。

編集：『地球・環境・資源 : 地球と人類の共生をめざして』（内田悦生と共編）共立出版 2008年
監修：『年代で見る日本の地質と地形 :日本列島5億年の生い立ちや特徴がわかる』誠文堂新光社 2017年
監修：『日本列島5億年史: 地形・地質でわかる!! : 日本列島はどのように形成されたのか』洋泉社MOOK 2018年
監修：『世界自然遺産でたどる美しい地球 :地形・地質・地層で読み解くビジュアル地球史』新星出版社 2018年
監修：『世界遺産』（西谷大と共同監修）講談社 2018年
監修：『地形・地質で読み解く 日本列島5億年史』宝島社 2020年

これらの活動を通じて、専門家向けの研究書から一般向けの啓発書まで、幅広い読者層に向けて地質学の魅力を発信しています。特に、地質図学や日本の地質・地形に関する著作・監修が多く、これらの分野における知見の普及に力を入れていることがうかがえます。

高木秀雄氏は、教育者、研究者、そして社会貢献活動を通じて、日本の地質学の発展に多大な貢献を果たしている人物です。

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