西谷大

西谷大（にしたに まさる）は、1959年生まれの日本の考古学者です。国立歴史民俗博物館の教授であり、館長も務めています。専門は中国考古学で、特に中国における人と自然、そして食の関係について深く研究しています。

西谷氏は、1984年に熊本大学文学部史学科を卒業後、1986年に同大学院文学研究科修士課程を修了しました。その後、天津師範大学や中山大学人類学系への留学を経て、1989年に国立歴史民俗博物館の助手として研究者のキャリアをスタートさせました。その後、助教授、准教授を経て、2012年に教授に就任、2020年からは館長を務めています。また、総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専攻の教授も兼任しています。

西谷氏の研究は、中国における人と自然の関係、特に食文化に焦点を当てています。1999年からは、中国・海南島のリー族の村で、2003年からは雲南省紅河ハニ族イ族自治州で、棚田や市場を中心とした自然利用の調査を行っています。これらの調査を通じて、少数民族の生活様式や環境利用に関する貴重なデータを収集し、分析しています。

西谷氏は、これまでの研究成果をまとめた多数の著書を出版しています。例えば、『食は異なもの味なもの 食から覗いた中国と日本』では、食文化を通して中国と日本の文化の違いを考察しています。『食べ物と自然の秘密』では、自然と食の関わりについてわかりやすく解説しています。『多民族の住む谷間の民族誌 生業と市からみた環境利用と市場メカニズムの生起』では、中国の少数民族の生業と市場の関係を詳細に分析しています。また、『雲のうえの千枚ダム 写真紀行 中国雲南・大棚田地帯』では、自身の撮影した写真とともに、雲南省の大棚田の美しい景観を紹介しています。

これらの著書からもわかるように、西谷氏の研究は単なる考古学の枠にとどまらず、文化人類学、民俗学、環境学など、多岐にわたる分野にまたがっています。西谷氏の研究は、中国における人と自然の相互作用を理解する上で、非常に重要な貢献をしていると言えるでしょう。

西谷氏の業績は、国立歴史民俗博物館の活動を通じて、広く一般の人々にも共有されています。博物館の展示や講演会などを通じて、考古学の面白さや重要性を伝えています。

主な著書

『食は異なもの味なもの 食から覗いた中国と日本』(歴博ブックレット) 歴史民俗博物館振興会, 2001
『食べ物と自然の秘密』(自然とともに) 小峰書店, 2003
『多民族の住む谷間の民族誌 生業と市からみた環境利用と市場メカニズムの生起』角川学芸出版, 2011
『雲のうえの千枚ダム 写真紀行 中国雲南・大棚田地帯』 (キオクのヒキダシ) 著・写真. 社会評論社, 2017

共編著

『模型で見る歴史のドラマ ジオラマのできるまで』 (おもしろ発見歴博シリーズ) 設楽博己共著, 国立歴史民俗博物館 監修. 歴史民俗博物館振興会, 1999
『ものが語る歴史 よみがえる漢王朝 企画展示』 (おもしろ発見歴博シリーズ) 仁藤敦史共編著, 国立歴史民俗博物館 監修. 歴史民俗博物館振興会, 1999
『見るだけで楽しめる!ニセモノ図鑑 贋造と模倣からみた文化史』 (視点で変わるオモシロさ!)編著. 河出書房新社, 2016

外部リンク

国立歴史民俗博物館

もう一度検索