高松市民会館

高松市民会館の歴史と役割

高松市民会館は、かつて香川県高松市番町一丁目に位置していた多目的ホールで、1961年5月に開館しました。開館時は、当時の高松市長であり、常磐グループの創始者でもある國東照太が工事費の一部を寄付したという逸話が残っています。その総工事費は3億円に達し、5千万円が市に寄付されたことは、このホールに対する市の期待の高さを物語っています。

この会館は、2,000人を収容できるホールとしては四国で一番の広さを誇り、地域住民に広く利用されました。開館以来、幼稚園の発表会やアーティストのコンサート、学者の講演等、幅広いイベントが行われ、入場者総数は閉館までに1,000万人を超えたとされています。また、高松交響楽団や香川市民劇場といった地域の文化団体による活動が活発に行われ、多くの文化人がこの場で育まれました。

しかし、近年では近隣に新しいホールが建設される動きが進み、高松市民会館はその相対的価値が低下していきました。老朽化も影を落とし、設備が新しい施設に劣ることから、会館の立替えや新たなホールの建設が検討されるようになりました。結果として、1994年にはサンポート高松に新しいホールの建設が決まり、高松市民会館は2004年3月に閉館する運びとなりました。

閉館当日には、市民からの応募で選ばれた最後のイベント「ラストステージ2004 in 市民会館」が開催され、2日間にわたって行われました。最終日の出演者は、高松第一高等学校の音楽部OBたちでした。そして、フィナーレでは全ての出演者と観客が一緒に「蛍の光」を合唱し、市民会館としての役割を静かに閉じました。その後、役割は5月20日にオープンする新しいサンポートホール高松に引き継がれました。

会館の解体後しばらくの間は、駐輪場や公用車の駐車場として利用されていましたが、2012年には高松市がこの場所に危機管理センターを建設する構想を発表しました。その構想は、2018年4月24日に地上8階建ての防災合同庁舎が完成し、同年5月7日より運用が開始されることで実現しました。こうして、高松市民会館の長い歴史は幕を閉じ、新たなメディアと機能として地域のニーズに応じる形へと変わっていったのです。

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