高松琴平電気鉄道1000形電車
高松琴平電気鉄道の通勤形電車
高松琴平電気鉄道が運行する1000形、3000形、5000形電車は、いずれも1930年代に産まれた通勤形電車であり、同社の琴平線の開業にあたり新造されました。これらの電車は、2007年に産業考古学会から推薦産業遺産に選定され、また2009年には経済産業省から近代化産業遺産に認定されており、その歴史的価値が認められています。
1000形電車
1926年に製造された1000形電車は、両運転台を備えた制御電動客車で、琴平電鉄の開業に伴い100・110・120・130・140の5両が生産されました。この形式は、特異な番号付けの方法が採用されていますが、その理由は不明なままとなっています。車両は15メートル級の半鋼製で、前面は丸みを帯びた貫通式、そしてウィンドウ周りのデザインに独特の特徴があります。
製造当初、1000形にはドイツ製の電装品が使われるなど、外装にも特筆すべき点があります。昭和20年代には改装が行われ、窓やパンタグラフの位置が変更されました。1976年には事故により一部車両が廃車となりましたが、残った車両はその後も長尾線を中心に運行されました。
1000形の全車両は、動態保存車となった2007年以降も定期的なイベントで運行され、多くの鉄道ファンに親しまれています。特に、トップナンバーの100号車は、運行離脱前に特別なさよなら運転が行われ、感動のひと時が提供されました。結局、120号車は動態保存され、引退後も現在も存在し続けています。
3000形電車
3000形電車は1926年に製造された制御電動客車で、1000形と同様に両運転台を備えています。300・315・325・335・345の5両が生産され、番号付けはまたもや特異な方法が使用されています。15メートル級の半鋼製で、こちらも貫通式前面が特徴です。
Panタフラフの位置や台車の変更はあったものの、3000形も長年にわたり運行されてきました。特に315号の運転室の改装や、330の特別塗装車としての活躍など、様々な軌跡を持っています。335号は静態保存されており、後の鉄道愛好家にとっての貴重な資料となっています。
5000形電車
最後に5000形電車ですが、これは1928年に加藤車輌によって製造され、片運転台の制御客車として3両が新造されました。窓配置やデザインの特徴があり、特に戸袋窓の形状が異なることが注目されます。
1953年に国鉄から譲り受けた制御車によって改造され、1990年代には琴平線や長尾線で運用されていました。500号は最新の改装を受け、動態保存が施されています。
逸話
この通勤形電車の歴史は多々の逸話で彩られています。例えば、高松琴平電気鉄道の社史『60年のあゆみ』によれば、開業当時、客がその立派な車両に敬意を払って、下駄を脱いで乗車したエピソードが残されています。このように、多くの人々に支えられてきた高松琴平電気鉄道の車両たちは、まさに地域の宝と言えるでしょう。
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