高林隆

高林 隆

高林 隆（たかばやし たかし）は、1931年8月2日に埼玉県さいたま市で生まれた日本のサッカー選手である。ミッドフィールダー（MF）として活躍し、戦後から日本リーグ創設以前にかけての日本サッカー界を牽引した一人として知られる。2009年12月27日、出身地であるさいたま市見沼区にて心不全のため死去した。享年78。

学生時代とサッカーへの傾注

埼玉県立春日部高校に進学後、サッカー選手としての頭角を現し、高校3年時にはチームを全国高校サッカー選手権大会の埼玉県予選優勝へと導いた。

1950年に立教大学へ進学すると、大学サッカー界でも中心選手として目覚ましい活躍を見せた。特に大学3年次の1953年には、チームの大学選手権優勝に大きく貢献している。その実力は早くから評価されており、大学1年次から継続的に関東大学選抜にも選出されるなど、学生トップレベルでの地位を確立した。

国際経験の獲得

大学4年次には、国内での活躍が認められ、サッカー日本代表の一員に選ばれる。さらに、1953年には日本学生選抜として、当時ユニバーシアードの前身にあたる国際大学スポーツ週間に参加するため、西ドイツのドルトムントへ遠征した。この学生選抜には、後に日本サッカー界の要職を担う長沼健氏や岡野俊一郎氏といった錚々たるメンバーが名を連ねており、彼らと共に国際舞台でプレーした経験は、高林氏にとって貴重な財産となった。

社会人サッカーでの実績

立教大学を卒業した1954年、実業団チームである田辺製薬に入社し、サッカー部で選手として活動を続けた。田辺製薬は当時の実業団サッカー界における屈指の強豪であり、高林氏はミッドフィールダーとしてチームの快進撃を支えた。在籍期間中に開催された全日本実業団サッカー選手権大会では、1954年、1955年、1957年と、実に3度もの優勝に貢献するという輝かしい功績を残している。また、大阪サッカークラブにも所属していた時期がある。

日本代表での足跡

1950年代のサッカー日本代表においても中心選手として活躍した。国際Aマッチには、1954年から1958年にかけて出場し、通算で9試合に出場し2得点を記録している。国際Aマッチデビューは、1954年3月14日に行われた韓国代表との一戦（会場：明治神宮競技場）。代表での初得点は、同年5月1日にマニラで行われたインドネシア代表戦で生まれた。

日本代表として、主要な国際大会にも数多く参加した。具体的には、1954年のFIFAワールドカップ予選、同年の第2回アジア競技大会、1956年のメルボルンオリンピック予選、そして1958年の第3回アジア競技大会といった重要な舞台でプレーし、日本代表の国際レベルでの経験を積み重ねることに貢献した。これらの活動は、戦後復興期にあった日本サッカーが国際的な場での経験を積む上で、非常に大きな意味を持っていた。

高林氏は、高校、大学、実業団、そして日本代表と、それぞれのカテゴリーで常に重要な選手として活躍し、多くの栄光を掴んだ。特に、日本サッカーがまだ発展途上にあった1950年代において、その確かな技術と豊富な経験をもってチームを牽引した功績は特筆されるべきである。彼の残した業績は、その後の日本サッカーの発展に向けた貴重な礎の一つとして、長く記憶されるだろう。

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