高校大パニック

映画『高校大パニック』の概要

『高校大パニック』（こうこうだいぱにっく）は、1978年に公開された日本の映画で、1976年に製作された同名の8ミリ自主映画を日活が劇場用35ミリにリメイクした作品です。公開時には『帰らざる日々』が同時上映されました。この映画は、福岡博多にある名門高校を舞台に、受験に苦しむ若者たちの叫びと、それに伴う過剰な受験ストレスを描いています。

作品の背景と制作経緯

本作の制作には、学生たちで構成された8ミリ自主映画グループ「狂映舎」と日活のスタッフが共同で関わりました。原案や監督には狂映舎のメンバーが参加しており、映画のメッセージやテーマからの影響を受けています。劇中の名セリフ「数学できんが、なんで悪いとや!」が当時のキャッチコピーにもなっており、受験戦争に対する鋭い皮肉が込められています。

日活は監督に石井聰亙を迎え入れ、当時21歳だった彼は、経験豊富な澤田幸弘と共同で映画の制作にあたりました。石井は高校時代に映像制作の道に進むことを決めましたが、制作費用は当時の高校生にとって高額であり、日芸に入学してから本格的に映画作りに挑戦することになります。長谷川和彦監督との対談も影響を与え、共に「ディレクターズ・カンパニー」を立ち上げることになりました。

映画のあらすじ

映画は、福岡市内の中州高校で発生した自殺事件から始まります。主人公・田中がビルの屋上から飛び降りるという悲劇が起こり、校長はその事態を受けて学校の名誉を守ろうとし、全校生徒に田中の自殺は無意味であると説きます。しかし、生徒たちの心には深い傷が残ります。

田中のクラスの生徒、城野安弘はこの状況に憤りを感じ、担任教師の伊原に暴力を振るって学校を飛び出します。彼は銃砲店に押し入ってライフルを手に入れ、学校に戻った城野は伊原を射殺し、撃ち合いが始まります。この事件によって、学校は混乱の渦に巻き込まれ、城野は女生徒・村上美穂子を人質に取ります。彼は警察と対峙し、緊迫した状況が展開していきます。

主なキャスト

• - 城野安弘：山本茂
• - 村上美穂子：浅野温子
• - 伊原修：久富惟晴
• - 米重満州男：江角英明

その他、多くの俳優が登場し、物語を引き立てています。

映画の影響と評価

『高校大パニック』の公開により、当時の映画界には自主映画作家たちの影響が色濃く現れました。同じ年には松竹が大森一樹を起用して『オレンジロード急行』を制作しており、独自のスタイルが評価されていました。

この映画は、自主制作の重要性や表現の自由を象徴する作品として残り、多くの映画作家たちに刺激を与えました。受験による過剰なストレスの描写は、その後の日本の社会における教育問題についても考えさせられる要素となっています。

最後に

映画『高校大パニック』は、当時の若者たちの苦悩や叫びをリアルに描いた作品として、今も多くの人々に深い印象を与え続けています。受験戦争がもたらす影響や現代社会の問題点を映し出しており、単なるエンターテインメントを超えたメッセージ性のある作品と言えるでしょう。この映画は、映画制作の過程や若者たちのリアルな姿を通して、視聴者に強いメッセージを届けています。

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