オレンジロード急行

オレンジロード急行

『オレンジロード急行』は、1978年4月29日に公開された日本映画。松竹・おおもりプロが製作し、松竹が配給を行った。当時26歳だった大森一樹監督の商業映画デビュー作であり、シナリオ作家の登竜門として知られる城戸賞を受賞した大森自身の脚本を映画化した。

概要

本作は、非合法の海賊放送を営む若者たちと、大胆不敵な行動力を持つ自動車泥棒のおじいさん、おばあさんカップルという異色の組み合わせを軸に展開するスラップスティック・コメディ。大森監督ならではのユニークな視点と演出が光る作品。

制作の背景

松竹は、大森一樹が第3回城戸賞に入賞した同名タイトルの映画化権を獲得。大森自身が監督に名乗りを上げ、異例の抜擢となった。当時26歳という若さで、企業外の監督である大森を起用したことは、松竹にとっても大きな話題となった。

大森は京都府立医科大学医学部に在学中の学生であり、前年に大林宣彦監督の『ハウス』が話題を呼んだことを受けて、撮影所システムを通らない若手監督の出現として注目された。カメラは『ハウス』を観た大森が阪本善尚に依頼したが、その他は松竹の機構を使って製作された。

キャスト

鈴木鈴之助 - 嵐寛寿郎
田中もと - 岡田嘉子
流 - 森本レオ
ダンプ - 中島ゆたか
ファイト - 小倉一郎
メカ - 志麻哲也
羽島泰造 - 河原崎建三
羽島順子 - 石井くに子
西山敬介 - 伍代守
西山敦子 - 津田京子
源田刑事 - 原田芳雄
宏美 - 早乙女愛
メリーさん - 高杉早苗

スタッフ

監督・脚本・企画 - 大森一樹
製作 - 大谷信義
撮影 - 阪本善尚
美術 - 宮坂勝巳
照明 - 田村晃雄
編集 - 大島ともよ
助監督 - 藤沢勇夫

脚本

当初、大森の脚本は海賊放送局だけの話だったが、尺が足りなかったため、おじいさん、おばあさんを『俺たちに明日はない』のボニーとクライド風に絡ませることで完成させた。アメリカンニューシネマの影響を強く受けており、日本でも同様の作品を作りたいという思いがあったという。

キャスティング

大森は、主演に鈴木清順と田中絹代を想定して脚本を書いた。かつて自主映画に出演してもらった鈴木清順に再び出演を依頼しようとしたが、松竹から俳優を使うように指示された。メリー役には引退していた原節子に出演を依頼したが、連絡が取れなかった。

評価

城戸賞受賞作の映画化という話題性から、松竹は『ダブル・クラッチ』との二本立てで、青春映画の決定版として宣伝し、ゴールデンウイーク映画として公開したが、興行成績は振るわず、途中で松本清張原作の旧作三本立てに切り替えられた。しかし、大森監督の才能は注目を集め、後の活躍に繋がる作品となった。

同時上映

『ダブル・クラッチ』
主演：郷ひろみ
監督：山根成之
原作：五木寛之
脚本：ジェームス三木

参考文献

『日本映画・テレビ監督全集』キネマ旬報社、1988年。
『ぴあシネマクラブ 日本映画編』ぴあ、2006年。ISBN 4-89215-904-2。

外部リンク

オレンジロード急行 - KINENOTE
オレンジロード急行 - allcinema
Orenji Rôdo kyûkô - IMDb（英語）

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