高校生の
ゴンクール賞(Prix Goncourt des lycéens)は、
フランスの15歳から18歳までの高校生たちが、その年の
ゴンクール賞候補作品の中から、自ら選出する
文学賞です。
1988年に創設されたこの賞は、若者世代の読書意欲を高め、現代
フランス文学への理解を深めることを目的としています。
賞の創設と運営
レンヌの教員と
フナック書店代表の尽力によって誕生した高校生の
ゴンクール賞は、当初は小規模な取り組みでしたが、現在では
フランス国民教育省が中心となり、ゴンクール・アカデミー、
フナック書店、カノペ・ネットワーク(教育創造支援ネットワーク)との連携の下、全国規模の
文学賞へと成長しました。毎年
11月初旬、本家の
ゴンクール賞発表の約1週間後に、
レンヌ市庁舎で受賞作品が発表される盛大なイベントとして開催されています。
選考過程:熱気あふれる若き読者たちの審議
選考過程は、綿密で、かつ高校生たちの主体性を重視した仕組みとなっています。まず、全国から約50校の
リセ(高校)が選出され、各校から2,000人の生徒が参加します。9月初旬、ゴンクール・アカデミーがその年の
ゴンクール賞候補作品(約15作品)を発表すると、
フナック書店が各作品を5部ずつ選出校に配布。生徒たちは2ヶ月をかけて候補作品を読み込みます。
この期間、各
リセの教員は授業の中で候補作品を取り上げ、解説を行います。さらに、候補作家を招いた
シンポジウムが7回開催され、高校生たちは作家と直接意見交換する機会も得られます。各校では、生徒たちが投票によって上位3作品を選び出し、各校から選ばれた代表生徒1名が地域の選考委員会に参加します。各地域委員会は、代表生徒からのプレゼンテーションを聴取し、上位3作品と地域代表2名を選出します。
最後に
レンヌで非公開の最終審査が行われ、厳正な選考の結果、高校生の
ゴンクール賞受賞作品が決定します。この選考過程は、単なる投票ではなく、高校生たちが真剣に文学作品と向き合い、その魅力を議論し、自分自身の意見を表明する場となっています。
高校生の
ゴンクール賞は、単なる
文学賞にとどまりません。この賞は、若者世代に質の高い文学作品に触れる機会を与え、読書習慣の醸成、そして現代
フランス文学への関心を高める上で大きな役割を果たしています。また、生徒たちが主体的に作品を評価し、議論するプロセスを通して、批判的思考力や表現力の育成にも貢献しています。選考過程における高校生と作家の交流は、彼らに新たな知見と刺激を与え、将来の読者、ひいては作家を育成する土壌となっています。
未来への展望
高校生の
ゴンクール賞は、今後ますます多くの若者にとって、文学と深く関わるきっかけとなるでしょう。
フランスの文化・教育における重要な一翼を担うこの賞は、今後も現代
フランス文学を担う若き才能の発掘と育成に貢献し続けることでしょう。その活動は、
フランスのみならず、世界中の若者たちに文学への関心を高めるインスピレーションを与え続けるに違いありません。