高権三

高権三の生涯と業績

高権三（コ・グォンサム、1901年5月31日 - 没年不詳）は、朝鮮半島出身の著名な歴史学者かつ政治学者であり、済州島で生まれました。彼の学問と政治活動は、韓国史の研究において非常に重要な位置を占めています。特に、彼の著書『大阪と半島人』（1938年）は、古代大阪の渡来人研究と在日韓国・朝鮮人に関する貴重な情報源となっています。

人物背景

高権三の家系は、世宗時代の87代漢城府尹であった済州高氏に連なるもので、祖父は李氏朝鮮王朝末期の官吏でした。兄は独立運動家として活躍しており、彼自身も早くから政治活動に関与していました。1921年には城山青年会を設立し、無産階級の権利向上に向けた活動を展開しました。彼は1927年に早稲田大学を卒業し、その後も日本で歴史研究を続けました。

日本滞在と大阪への移住

早稲田大学在学中には、高野房太郎とともに職工義友会を組織し、日本の労働組合運動の基盤を築きました。その後、大阪に移住し、そこでの生活を通じて『大阪と半島人』を出版しました。この著作は、当時の日本における在日の生活や文化に光を当て、多くの研究者に影響を与えました。

戦後の活動

1940年代に彼の研究は「皇道哲学」へと転換し、日本政府に対して複数の論説を発表しました。しかし、彼は依然として民族啓蒙主義者としてのスタンスを失っておらず、日本の圧政に対抗するための活動に尽力しました。1945年以降は帰国し、東国大学やソウル大学で教授として教鞭を執りながら歴史研究を続けました。

アリランに関する研究

高権三は韓国の民謡「アリラン」についての著名な研究者であり、特に「アリラン基本6説」の一つである「啞耳聾（アイロン）」説で知られています。この説は、「アリラン」が朝鮮時代初期に発生したとするもので、彼の独自の視点を反映したものです。彼はこの曲を民族の抵抗精神を象徴するものと位置づけ、歴史的背景を考察しました。

消息不明とその後

1950年、大韓民国第2回総選挙に無所属で出馬しましたが落選。その後の朝鮮戦争勃発後、彼は行方不明となりました。彼の消息は不明のままで、北朝鮮に拉致されたという情報もありますが、真相は未だ明らかになっていません。彼の生涯は、韓国の歴史と文化に対する探求心と、民族のアイデンティティを求める努力に満ちていました。

まとめ

高権三の業績は、韓国の歴史や文化を理解する上で重要な指標となり、彼の研究は現在も多くの学者に影響を与えています。その生涯は、学問と政治、そして文化的抵抗の象徴と言えるでしょう。彼の思想や行動は、朝鮮半島の歴史に深く刻まれています。

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