高橋和男

高橋和男（たかはし かずお）は、1969年3月18日に山梨県で生まれた日本の漫画家です。2011年1月に惜しまれつつもその生涯を閉じました。

漫画家への道を歩み始めた高橋氏は、著名な漫画家である小林まこと氏のもとでアシスタントとして研鑽を積みました。19歳から二年近く、当時『What's Michael?』や『柔道部物語』といった人気作を同時に連載していた小林氏を支えましたが、師匠の作業がいつも締め切り間際にならないと始まらなかったため、苦労が絶えなかったと後に語っています。この経験を経て、1990年に漫画家としてプロデビューを果たしました。

氏の作品は、主に青年向けのコメディを主体としています。特に、性的な要素とユーモアセンスを巧みに融合させた独特の作風で知られ、単なるお色気漫画の枠を超えた人間描写や日常の切り取り方が多くの読者の支持を得て、熱心なファンを獲得しました。漫画制作に対する姿勢を示すかのように、「エロくないシーン描くのって、楽だけど楽しくないですねｗ やはり女のコの体描くの楽しい。」という名言も残しています。

漫画執筆以外にも、高橋氏は多方面で活躍しました。無類の映画好きとしても知られ、宝島社が発行していた『この映画がすごい!』誌上では「A-BOYそこ萌え！」と題したコラムを連載。映画評論家とは一線を画す、独自の視点とユーモアを交えた解説は好評を博しました。また、近年は新しい表現媒体にも積極的に挑戦し、ケータイ向けの電子書籍での漫画配信に強い関心を示し、過去の多くの作品を電子化して配信していました。

高橋氏は、漫画家やクリエイターの間でも幅広い人脈を持っていました。特に山本英夫氏、福本伸行氏、佐藤秀峰氏、森チャック氏といった錚々たる顔ぶれの漫画家たちと親交が深く、吉祥寺のホルモン焼き屋には、氏と彼らが共同で描いたサインが壁一面に残されているというエピソードもあります。他にも、ハロルド作石氏、こしばてつや氏、木山道明氏、そして俳優の要潤氏、映画監督の深作健太氏らとも交流がありました。

深作健太監督との親交は深く、氏の監督作品である映画『完全なる飼育～メイド、for you～』にはエキストラとして出演しています。さらに、2011年に劇場公開された短編映画『ジョーのかけおち』では、セリフのある役者として登場しており、その演技は第一興商のDAM the Movieでも先行配信されていました。

高橋氏はサブカルチャー全般にも造詣が深く、B級映画はもちろんのこと、コミックマーケット（コミケ）や秋葉原、中野ブロードウェイといった日本のオタク文化の発信地をこよなく愛していました。

2011年1月30日、高橋氏は東京都三鷹市の自宅で帰らぬ人となりました。漫画家の葉月京氏が自身のSNS上で語ったところによると、氏の訃報は「デスクで書きかけの原稿に向かったままで病死した」という痛ましい状況であったと伝えられています。突然の訃報は関係者やファンに大きな衝撃を与えました。

葬儀には、師匠である小林まこと氏も参列し、氏との別れを惜しみました。そして、告別式では、長年の友人であり、漫画家仲間でもある福本伸行氏が弔辞を読み上げ、故人の人柄や功績を偲びました。

高橋和男氏の残した作品と、そのユニークな人柄は、多くの人々の記憶に残るでしょう。以下は氏の主な漫画作品です。

『南の家族』（全5巻、双葉社）
『はてな』（全2巻、集英社）
『スケベっ娘』（全1巻、竹書房）
『爆弾ガール』（全1巻、竹書房）
* 『エロ霊』（全1巻、竹書房）

漫画家として、コラムニストとして、そしてユニークな人物として、高橋和男氏の存在は日本の漫画史、そしてサブカルチャー史において、小さからぬ光を放っていました。

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