高橋昌明

高橋昌明：日本中世史研究の第一人者

高橋昌明氏（1945年生まれ）は、日本を代表する中世史学者の一人です。神戸大学名誉教授として、長年にわたり、日本の歴史、特に中世社会の研究に尽力してきました。その専門は日本中世史、中でも武士の成立や平氏政権に関する研究は、国内外で高い評価を得ています。

高知県高知市出身の高橋氏は、同志社大学大学院文学研究科修士課程を修了後、同志社高等学校教諭、滋賀大学教育学部教授を経て、神戸大学大学院人文学研究科教授に就任。2002年には、博士論文『武士の成立 武士像の創出』で大阪大学より博士（文学）の学位を取得しています。2008年には神戸大学を定年退職し、名誉教授となりました。

平氏政権研究と学術論争

高橋氏の研究は多岐に渡りますが、特に注目すべきは、平氏政権に関する研究です。彼は、平氏政権を日本における最初の武家政権と位置づけ、「六波羅幕府」と命名しました。この主張は、従来の学説を覆すものであり、上横手雅敬氏らとの活発な論争を巻き起こしました。この論争は、日本中世史研究における重要な議論として、現在も注目されています。

高橋氏の平氏政権に関する著作は多数あります。『清盛以前 伊勢平氏の興隆』では、平氏の隆盛の過程を詳細に分析し、『平清盛 福原の夢』では、平清盛の政治構想とその挫折を描き出しています。『平家の群像　物語から史実へ』では、歴史と物語の両面から平氏一族の姿を描いています。これらの著作は、平氏政権研究において重要な参考文献として広く活用されています。

多角的な視点からの日本中世史研究

高橋氏の研究は、平氏政権のみに留まりません。『湖の国の中世史』では、滋賀県を中心とした中世社会を、『中世史の理論と方法』では、中世史研究の方法論を論じています。『酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化』では、民話を通して中世の社会文化を探っています。このように、高橋氏は多角的な視点から日本中世史を研究し、多くの成果を残しています。さらに、『武士の成立 武士像の創出』は、武士の成立過程を多角的に分析した、氏の代表的な著作です。

社会活動への関与

学術研究以外にも、高橋氏は社会問題にも積極的に発言しています。2011年には、日本史研究会代表委員として、大阪府議会における「日の丸」常時掲揚・「君が代」斉唱時起立条例の強行可決に抗議する声明を発表しました。これは、歴史学者としての立場からの、社会に対する責任ある行動と言えるでしょう。

著作リスト

高橋氏の著作は非常に多く、その研究範囲の広さと深さを示しています。主な著作として以下が挙げられます。

『清盛以前 伊勢平氏の興隆』
『湖の国の中世史』
『酒呑童子の誕生 もうひとつの日本文化』
『中世史の理論と方法』
『武士の成立 武士像の創出』
『歴史家の遠めがね・虫めがね』
『平清盛 福原の夢』
『平家の群像　物語から史実へ』
『平家と六波羅幕府』
『京都 〈千年の都〉の歴史』
『洛中洛外　京は“花の都”』
『東アジア武人政権の比較史的研究』
『武士の日本史』
『都鄙大乱　「源平合戦」の真実』

さらに、編著書や、大河ドラマ『平清盛』の時代考証にも携わるなど、その活動は多岐に渡っています。高橋昌明氏の研究は、日本の歴史研究に大きな貢献を果たしており、今後もその業績が期待されます。

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