高気圧ガール

山下達郎の10枚目のシングル「高気圧ガール」は、1983年4月23日にリリースされ、彼の音楽史において重要な位置を占める作品です。

このシングルは、アルバム『MELODIES』からの先行シングルとして発表されました。そして、全日空の沖縄キャンペーンソングとして制作されたという点が、その背景として注目に値します。

楽曲「高気圧ガール」は、山下達郎の代表曲の一つとして広く知られており、その特徴的なサウンドは多くのリスナーを魅了し続けています。イントロはアカペラとパーカッションで始まり、独特の雰囲気を作り出しています。また、高気圧の溜息という表現は、竹内まりやが担当していることが、後に山下達郎自身によって明かされています。彼はこのサウンドについて、『TREASURES』のライナーノーツで、ポリリズムやコード進行に凝った、典型的な当時の自身のサウンドと評しています。さらに、当初はアルバム『MELODIES』に、アカペラのみで始まり、フェイドアウトするロングバージョンが収録される予定でしたが、シングルバージョンのインパクトの強さや、演奏時間の制約から、最終的にシングルバージョンが採用されました。このロングバージョンは、後に『MELODIES 30th Anniversary Edition』のボーナストラックとして収録されています。

カップリング曲として収録されているのは、「DARLIN'」です。これは、ザ・ビーチ・ボーイズの楽曲のカバーで、山下達郎が全ての楽器を一人で演奏するというコンセプトのもとに制作されました。彼は、ホーンセクション以外のすべてのパートを担当しています。オリジナルは、1964年にシャロン・マリーが発表した「THINKIN' 'BOUT YOU BABY」の改作であり、山下達郎は、この事実を踏まえ、曲のコーダに「THINKIN' 'BOUT YOU BABY」の一節を加えています。この「DARLIN'」は、後にサウンドトラック『BIG WAVE』にも収録されました。

このシングル「高気圧ガール c/w DARLIN'」のリリース以降、山下達郎の全ての作品はムーン・レーベルからリリースされるようになりました。これは、彼のキャリアにおける大きな転換点の一つと言えるでしょう。

「高気圧ガール」は、その後も様々なタイアップで使用されており、2011年にはアサヒのスラット、2015年にはスバルのインプレッサのCMソングに起用されました。また、2011年には、CMソング起用を機に、23年ぶりにライブで演奏されたバージョンがシングル「愛してるって言えなくたって」に収録されています。この事実は、この楽曲が、時代を超えて愛され続けていることを示す証拠と言えるでしょう。

「高気圧ガール」は、山下達郎の音楽性と才能が凝縮された、まさに代表的な楽曲であり、その魅力は、時代を超えて多くのリスナーを魅了し続けています。イントロの斬新さ、メロディーの美しさ、そして、サウンド全体に漂う独特の雰囲気は、長く記憶に残る名曲として、今後も愛され続けることでしょう。

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