高河原氏

高河原氏について

高河原氏（たかがはらうじ）は、紀伊国における名門の一つであり、日本の氏族の中でも特異な歴史を持っています。彼らの起源は不明ですが、地名から名づけられたとされ、その名前は「高川原」や「高瓦」とも表記されます。紀伊国、伊勢国、阿波国といった地域にその名が見られます。

高河原氏は平清盛の孫である維盛を祖とし、彼は1190年から1192年の間、熊野別当の家系である高河原氏に匿われ、新たな子をもうけて光盛と名付けられました。特に紀伊国の色川氏も彼らと同様の血筋を持つとされており、彼らの歴史は非常に興味深いものです。

公に名を馳せたのは、摂津守貞盛（維盛から14代目）はその一例です。貞盛は北畠家や織田家に仕奉し、特に隣国の堀内氏との抗争において重要な役割を果たしました。1579年、滝川一益の指揮のもと有岡城を攻略し、戦功を挙げて8000石を与えられました。1581年には、居城である虎城山城を築城することになります。この城は現在、和歌山県東牟婁郡串本町の古座に位置しています。

貞盛の子である帯刀家盛は豊臣秀長に仕えましたが、1600年には関ヶ原の戦いで西軍に加担したため、一時的に没落しました。その後、家盛は土着し、紀伊和歌山藩主の浅野氏に仕官することで家を再興しました。また、彼は自らの居城であった虎城山に菩提寺である青原寺を創建し、その際に城の一部を利用したと伝えられています。寺の中には家盛の墓とされる石碑が残されています。

家盛の子である助左衛門喬盛（幼名：小平太）もまた父と共に上田宗箇に仕官し、1615年の大坂夏の陣では徳川方として一番槍の武功を立てました。『新東鑑』にはその功績が記載されています。喬盛はその後、小平太という名を改め、そして後に安芸広島藩に隷属し、1500石の知行を得ました。最終的には帰郷して土着し、以後助右衛門と名乗り代々襲名していきます。

広島藩士としての高河原氏は、喬盛の弟である五郎左衛門定盛及び権左衛門源太夫が受け継ぎ、それぞれの流派で重要な役割を持ち続けました。特に定盛は姓を高瓦氏に改名し、代々塩田奉行や目付役として重用されたのは高河原氏の影響力を示すものでもあります。権左衛門源太夫は1730年以降、広島藩を去って帰農し、その後権右衛門と名乗るようになりました。

一方、嫡流は紀伊国に留まり、居城跡に住まいを構え、喬盛の弟または子である小左衛門唯盛も地士として命じられました。以後、その子孫も続き、貞家は六郎右衛門となり、さらにその子孫には鉛山奉行についた兵右衛門貞時がいるものの、嫡流は安永年間に途絶えることとなります。しかし、その後も高河原氏の名は残り、1889年に成立した古座村では良寛が村の役を担い、家系は続いています。

高河原氏はその長い歴史の中で多くの波乱と栄光を経てきたことから、その遺産や子孫は今もなお日本の歴史において重要な存在であり続けています。

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