高浜市立図書館

高浜市立図書館の歴史

高浜市立図書館は、愛知県高浜市にかつて存在した公共図書館です。1979年（昭和54年）4月11日に開館し、2023年（令和5年）3月31日にその役割を終えました。施設の老朽化に伴い、図書館機能は他の施設へと統合されました。

開館前：小中学校付設の図書館から公民館図書室へ

高浜市における図書館の歴史は、1914年（大正3年）に高浜尋常高等小学校（現在の高浜市立高浜小学校）に設置された高浜町立高浜図書館に遡ります。当初は約3,000冊の蔵書がありましたが、利用者の減少とともに事実上閉鎖されました。太平洋戦争後、図書は高浜町役場に保管され、1953年（昭和28年）には高浜中学校図書館と合併する形で再開されました。

1970年（昭和45年）に高浜市が誕生する以前には、吉浜公民館図書室が市民の読書活動を支えていました。1973年（昭和48年）には、図書館建設に向けて図書の購入が開始され、1978年（昭和53年）に高浜市立図書館・郷土資料館の建設工事が着工されました。

高浜市立図書館（1979年 - 2023年）

1979年（昭和54年）4月11日、高浜市立図書館が正式に開館しました。開館時には、一般書6,848冊、児童書3,302冊、吉浜公民館図書室から移管された3,024冊、合計13,804冊の蔵書がありました。ブラウン方式による貸出が行われ、開館から1ヶ月で1,385人が利用登録をしました。

開館後、図書館は様々なコーナーを設け、市民の知的好奇心に応えてきました。1979年（昭和54年）7月には郷土資料館が併設され、同年9月には三琇文庫、11月には高浜卯辰会コーナーが設置されました。1981年（昭和56年）には杉浦正俊コーナーが加わりました。

1980年（昭和55年）には団体貸出サービス、1981年（昭和56年）には紙芝居や大活字本の貸出サービスが開始され、市民の利用を促進しました。1988年（昭和63年）には高浜ロータリークラブコーナーや高浜子丑会コーナーが設置され、同年には高取公民館図書室も委託方式で開設されました。

2009年（平成21年）時点での図書館の延床面積は1,105.2m2であり、近隣の中央図書館と比較すると小規模でした。しかし、17万冊の収容能力がありました。
2010年（平成22年）度末の蔵書数は192,109冊、貸出数は200,980冊に達しました。

指定管理者制度の導入

2009年（平成21年）4月、図書館運営の効率化のため指定管理者制度が導入され、図書館流通センターが選ばれました。これにより、図書購入費が増額され、年間購入冊数も増加しました。2014年（平成26年）にも同社が指定管理者として再選定されています。

既存施設への移転（2023年）

2023年（令和5年）3月31日、高浜市立図書館は建物の老朽化のため閉館しました。図書館機能は、高浜市やきものの里かわら美術館と、いきいき広場の図書情報スペース「としょぴあ」に移転しました。かわら美術館には一般図書が、としょぴあには児童書や育児書が配置され、同年7月22日に高浜市やきものの里かわら美術館・図書館として再開館しました。

高浜市立郷土資料館

高浜市立図書館の2階には、高浜市の歴史や民俗に関する展示を行う高浜市立郷土資料館がありました。図書館機能の移転に伴い、展示機能は廃止され、資料の保存・管理に特化した施設となりました。

郷土資料館の歴史

1959年（昭和34年）に高浜町観光センター（貝の博物館）が開館しましたが、伊勢湾台風で展示品の多くが流出しました。その後、再開館を経て、1969年（昭和44年）には高浜町郷土史料館が開館しました。1979年（昭和54年）7月には図書館の2階に高浜市立郷土資料館が開館し、観光センターと旧郷土資料館の展示物が移管されました。

高浜市立図書館は、その歴史の中で市民の学習と文化活動に大きく貢献しました。閉館後も、その機能は新しい場所で継承されています。

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