高田工業

髙田工業株式会社は、神奈川県横浜市に本社を構える企業で、主な事業として自動車部品の製造を手掛けています。1950年に創立され、1955年に組織を株式会社へと改めました。

同社は長年にわたり、日本の主要自動車メーカーの一つである日産自動車と密接な関係を築いてきました。この強固な連携のもと、一般的な大量生産とは異なり、特定の車種や仕様に特化した「特殊少量生産」を得意分野としています。また、通常のセダンやクーペなどの車両を、屋根の開閉が可能なコンバーチブルタイプへ改造する技術にも特色があり、これらのニッチな分野で独自の地位を確立しています。

これまでに髙田工業が生産を請け負った特殊な車両は多岐にわたります。1980年代後半には、レトロモダンなデザインで大きな注目を集めた日産の「パイクカー」シリーズ、具体的にはBe-1、パオ、そしてフィガロの生産を担当しました。また、スポーティーカーとして知られるシルビア（S13型）のコンバーチブル仕様や、180SXといったモデルの製造にも携わっています。1990年代に入ってからも、SUVとワゴンのクロスオーバーモデルであるラシーン（ラシーンフォルザ含む）や、コンパクトカーのマーチをベースにしたカブリオレやマーチBOXなど、個性的な日産車の少量生産を手掛け続けました。日産車以外にも、スバルのユニークな軽自動車であるヴィヴィオのT-Topモデルや、いすゞのミューの生産に携わったほか、スバル・インプレッサ22B STiバージョンといった高性能モデル、さらには日産プレジデントや三菱デボネア（2代目、3代目）のストレッチリムジンといった特装車の製造実績も有しています。

車両本体の製造委託に加え、髙田工業は自動車部品の製造、自動車部品の試作品製作、そして自動車関連の設計業務受託など、幅広い事業を展開しています。また、トラックのキャビン（運転席部分）の製造も主要な製品の一つです。

過去には、現在本社のある横浜市戸塚区の工場で、フォークリフトの製造も行っていました。しかし、その後の会社再編や、ニチユ三菱フォークリフト（現在の三菱ロジスネクスト）との経営統合といった業界の動きに伴い、フォークリフトの生産は三菱ロジスネクストの滋賀工場へ移管されました。これにより、フォークリフト製造は現在、同社の主要な事業からは外れています。

地域社会との連携にも積極的であり、2006年3月には横浜市が推進した、市内の製造業者、消費者、商業者が協力して新たな商品を開発する「hamawaza」企画に参加しました。この企画のもと、日産キューブをベースにカスタマイズを施した特別な企画車両「ycar」を製造し、200台限定で販売するという取り組みも行っています。

このように、髙田工業株式会社は自動車部品製造を基盤としつつ、特に日産自動車との緊密な連携を通じて、少量生産車両や特殊な改造車両の分野で独自の技術力と柔軟性を発揮し、自動車産業の多様なニーズに応え続けている企業です。

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