高石左馬助

高石左馬助（たかいし さまのすけ）

高石左馬助は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけて土佐国で活躍した地侍であり、滝山一揆（別名：本山一揆）の首謀者として知られています。生没年は明らかではありません。

来歴

当初、左馬助は土佐七雄の一に数えられた本山氏に仕えていました。本山氏が長宗我部氏によって滅ぼされた後は、長宗我部氏に仕え、一領具足として本山郷において田一反の支配を一代限りで認められていました。その後、関ヶ原の戦いで長宗我部氏が改易となると、新たな領主として山内氏が土佐に入国することになりました。

左馬助は、山内氏入国時の混乱に乗じて、本山郷において500石を横領。百姓が山内氏に年貢を納めることを妨害しました。高石左馬助は、本山郷に80石の領有権を主張できたとしても、残りの420石の領有権はなかったため、この行為は私的横領と見なされました。

慶長8年（1603年）、山内氏が土佐に入封すると、左馬助はこれに反抗し、年貢の上納を拒否しました。山内氏の家臣である永原一照は、事態の悪化を避けるため、当初は穏便な説得を試みましたが、左馬助は態度を改めず、不法占拠を続けました。永原一照は再度左馬助を呼び出して詰問しましたが、左馬助は「凶作」を理由に年貢の納入を拒否しました。

その後、左馬助は弟の吉之助や農民約30人を扇動し、滝山に立て籠もって滝山一揆を起こしました。一揆は5日間の激戦の末、永原一照らによって鎮圧されました。敗戦が濃厚となると、左馬助は一揆を扇動したにもかかわらず、農民を見捨てて逃亡。土佐国瓜生野を経て讃岐国へと落ち延びました。その後の消息は不明です。

補註

滝山一揆は、山内氏の入国直後の不安定な状況下で起こった農民反乱であり、新領主に対する抵抗の象徴的な出来事として知られています。高石左馬助の行動は、私欲のために農民を扇動したとして批判される一方で、土佐の独立を求める気概の表れとして評価する見方もあります。

参考文献

* 平尾道雄『土佐農民一揆史考』（高知市民図書館、1953年12月）8-13頁

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