高羲東

高羲東の生涯と影響

高羲東（コ・ヒドン、朝鮮語: 고희동）は、1886年3月11日生まれ、1965年10月22日に他界した、朝鮮と韓国を代表する画家であり政治家です。彼は、日本統治時代にその才能を発揮し、朝鮮最初の洋画家の一人として知られています。また、韓国初の近代美術団体である「書画協会」を設立し、美術教育者としても活動しました。彼の作品は、韓国画と西洋画の技法を融合させた新しい絵風を切り開いたことで評価されています。

経歴

高は漢城府に生まれ、博文局の主事である高永喆の三男として育ちました。14歳で漢城仏語学校に進学し、フランス語を学びました。1904年には宮内府でフランス語の通訳として働きますが、乙巳条約締結後に官僚を辞し、著名な画家の元で絵画を学び始めます。彼は中国絵画に違和感を覚え、西洋絵画に関心を持ちました。

1909年、日本に渡り東京美術学校西洋画科に入学します。5年間にわたる学問の後、1914年に韓国人による初の西洋画である雑誌『青春』の表紙絵を手がけ、翌年には帰国しました。この帰国は当時大きなニュースとなり、彼の美術教育の道が始まります。帰国後は教育機関で美術を教え、多くの著名な学生を育成しました。

美術活動と書画協会

高の美術キャリアにおいて重要な出来事の一つは、1918年に近代的な美術団体「書画協会」を結成したことです。これは朝鮮人書画家が集まる場であり、彼の取り組みは後の韓国美術界に多大な影響を与えました。協会は会員作品展を開催し、1921年には朝鮮最初の近代美術展を行いました。

また、彼の作品は様々な展覧会に出品され、1922年には「庭園で」や「夏の田舎」を出品しましたが、以降は書画協会の活動に専念しました。書画協会は1939年には強制解散に追い込まれるものの、高は民族の美術家の団結を目指して尽力しました。

政治活動と晩年

解放後、高は朝鮮美術建設本部委員長や美術協会会長、大韓民国美術展覧会の審査委員長などを歴任しました。1956年には美術への貢献が認められ、芸術院賞を受賞しました。さらに、朝鮮戦争中は一時的に僧侶として生活し、戦後は政治活動にも関与していました。1960年の選挙では参議員に当選し、政界でも影響力を持つようになります。

晩年は妻を失い、カトリックに帰依。1965年に脳卒中により他界します。彼の死は多くの人々に惜しまれ、韓国美術界への貢献が語り継がれています。

遺産と作品

代表作には「程子冠を使った自画像」や「金剛山珍珠潭瀑布」などがあり、彼の作品は韓国の美術における重要な位置を占めています。また、彼の旧宅はソウルに残っており、近代初期の韓国住宅を代表するものとして文化財にも指定されています。このように、高羲東の生涯は美術と政治において影響を及ぼし、今なお多くの人々に尊敬されています。

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