高良鉄夫

高良鉄夫（たから てつお）は、1913年6月25日に沖縄県本部町で生まれ、2014年5月17日にその生涯を閉じた、日本の著名な動物学者です。農学博士の学位を持ち、応用動物学を専門としていました。

ハブ研究の第一人者

高良は、特にハブの研究で広く知られ、「ハブ博士」という愛称で親しまれました。彼のハブに関する研究は、沖縄の生物学研究において重要な貢献を果たしました。

イリオモテヤマネコの発見

また、高良はイリオモテヤマネコの発見にも深く関わっています。彼は、イリオモテヤマネコの幼獣を捕獲し、その存在を明らかにする重要な役割を果たしました。この発見は、日本の哺乳類研究における大きな転換点となりました。

琉球大学学長としての貢献

高良は、1970年7月1日から1973年6月30日までの間、第8代琉球大学学長を務めました。沖縄の本土復帰に伴う国立大学化という重要な時期に、大学の発展に尽力しました。彼のリーダーシップのもと、琉球大学は沖縄における学術研究の中核としての地位を確立しました。

尖閣諸島の学術調査

高良は、戦後の1950年から1968年にかけて、5回にわたり調査団を組織し、尖閣諸島での学術調査を実施しました。この調査には、後に沖縄社会大衆党委員長となる瑞慶覧長方も参加しており、学術研究だけでなく、沖縄の歴史や社会にも影響を与えました。

受賞歴

高良の長年の功績は、数々の賞によって称えられました。紫綬褒章、勲二等瑞宝章、沖縄県功労者、沖縄タイムス賞などを受賞し、その功績が広く認められています。

家族

長男の高良鉄美は憲法学者であり、琉球大学大学院法務研究科名誉教授、そして参議院議員、沖縄社会大衆党委員長を務めるなど、高良の血筋は学術界と政界の両方で活躍しています。

著作活動

高良は、研究活動だけでなく、沖縄の自然に関する多くの著作も発表しました。これらの著作は、一般の人々にも沖縄の豊かな自然を理解する上で貴重な資料となっています。主な著書には、『琉球の自然と風物 特殊動物を探る』、『ハブ=反鼻蛇 恐るべき毒ヘビの全貌』、『自然との対話 無人島は生きている密林の叫びとささやき』、『沖縄の秘境を探る』、『馬と語る・馬を語る 愉快で不思議な馬ものがたり』、『沖縄の資源探訪 高良鉄夫随想集』、『自然の示唆と人生 野生からのメッセージ』などがあります。また、共著として『沖縄の昆虫』、『沖縄動植物研究史』などがあります。

高良鉄夫は、沖縄の自然を愛し、その研究と教育に生涯を捧げた人物です。彼の業績は、今日の沖縄の生物学研究の基盤を築き、多くの研究者や学生に影響を与え続けています。

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