高街

香港・高街：歴史と伝説が交錯する道

香港の中西区、西営盤（Sai Ying Pun）に位置する高街（High Street）は、マイクロバスや乗用車のみが通行可能な一方通行の道路です。東側の般咸道（Bonham Road）と西側の薄扶林道（Pok Fu Lam Road）を結びますが、西辺街（Western Street）を境に、西向きと東向きの一方通行区間に分断されています。そのため、完全に通り抜けることはできません。

名前の由来

高街は、もともと「第四街（Fourth Street）」と呼ばれていました。しかし、中国で「四」の字が不吉とされることから、現在の「高街」という名称に変更されました。この名前の変更は、地域住民の感情に配慮した措置と言えるでしょう。

沿道の様子

高街沿いには、1,400戸以上の集合住宅が立ち並び、多くの住民が生活しています。また、以下のような施設も点在しています。

トレンチ・リハビリテーション・センター南ウイング：かつての前半山警察署（Upper Levels Police Station）跡地に建てられています。
般咸道官立小学：地域の子どもたちの教育を担う公立小学校です。
西営盤社区総合大楼：かつての精神病院の建物を改装した複合施設。後述する「高街鬼家」の舞台となった場所です。
香港佐治五世紀念公園：MTR西港島線の西営盤駅の出口が設けられる予定の公園です。
路上市場（正街街市）：地元住民の生活に欠かせない市場です。
香港基督教崇真会救恩堂、救恩学校：キリスト教系の教会と学校。
* 李陞小学：地域に根差した小学校です。

「高街鬼家」伝説

高街は、「高街鬼家（高街の幽霊屋敷）」と呼ばれる都市伝説で知られています。この伝説は、1892年に建てられた精神病院が発端となっています。

第二次世界大戦中、香港を占領した日本軍は、この病院を刑場として使用しました。病院前の香港佐治五世紀念公園には、多くの遺体が乱雑に埋められたと伝えられています。この出来事が、高街に不気味な噂が広まるきっかけとなりました。

戦後、精神病院は再開されましたが、当時の医療技術は未発達で、入院は「死を意味する」と恐れられていました。その結果、この場所はさらに恐ろしい場所として認識されるようになりました。現在、精神病院は存在せず、建物は改装され、西営盤社区総合大楼として利用されていますが、今でも「幽霊屋敷」のイメージは残っています。

高街の特殊性

高街は、英語名も「High Street」ですが、一般的な「High Street」が持つ意味合いとは異なります。通常のHigh Streetは、商店や商業施設が集まる繁華街を指しますが、高街は住宅街としての側面が強いです。その独特な歴史と、都市伝説が語られる場所として、高街は香港の中でも特異な存在と言えるでしょう。


高街は、香港の歴史と文化、そして都市伝説が混ざり合う場所です。この場所を訪れる際には、その歴史的背景と伝説に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

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