高野務

高野務（たかの つとむ）は、1909年7月20日に生まれ、1981年8月9日に没した、昭和時代を代表する土木工学者、内務官僚、そして建設技監です。

新潟県出身の高野は、1934年に東京帝国大学工学部土木工学科を卒業しました。卒業後、富山県経済部土木課に勤務し、その後、新潟県で土木技師兼道路技師として経験を積みました。1940年には内務省土木局に奉職し、そのキャリアを本格的にスタートさせます。

1943年には、防空総本部技師を兼任するなど、戦時下においてもその専門知識を活かしました。終戦後は、建設省関東地方建設局にて、横須賀国道改良、相模工事事務所長、京浜工事事務所長を歴任し、戦後の復興とインフラ整備に尽力しました。1952年には道路局国道課長に就任し、道路行政の中核を担いました。

その後、企画課長、技術参事官、中部地方建設局長、道路局長と要職を歴任し、1961年には建設技監に就任しました。しかし、当時の政治情勢の影響を受け、わずか9ヶ月で退官することとなりました。建設技監退任後も、土木学会会長を務めるなど、土木工学界への貢献を続けました。また、三菱地所顧問、東京大学・早稲田大学各講師、日本道路協会会長など、多岐にわたる分野で活躍しました。

高野務は、戦前、戦後を通じて日本のインフラ整備に大きく貢献した人物であり、その功績は今日の社会基盤を支える上で欠かせないものとなっています。彼の技術者としての卓越した能力と、社会への貢献は、後世に語り継がれるべきでしょう。

参考文献：
高橋裕、藤井肇男 共著『近代日本土木人物事典: 国土を築いた人々』鹿島出版会、2013年。

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