鬼平犯科帳 (テレビドラマ)

鬼平犯科帳

『鬼平犯科帳』（おにへいはんかちょう）は、池波正太郎の同名の時代小説を原作とするテレビ時代劇です。この作品は、東宝と松竹によって制作され、NET系（後のテレビ朝日）とフジテレビで放送されました。物語の中心には、主人公である長谷川平蔵が配置されており、このキャラクターは演じる俳優によって異なる魅力を放っています。

主なキャスト

長谷川平蔵役を演じた俳優には八代目松本幸四郎（後の初代松本白鸚）をはじめ、丹波哲郎、萬屋錦之介、二代目中村吉右衛門、十代目松本幸四郎がいます。特に八代目松本幸四郎が最初の長谷川平蔵としてテレビ画面に登場しました。彼の後、二代目中村吉右衛門が平蔵の息子である辰蔵役を演じ、親子共演を果たしています。

シリーズの歴史

『鬼平犯科帳』は、1969年から1972年にかけて初回シリーズが放送され、当初はモノクロでしたが、1970年4月からはカラー放送に切り替わりました。シリーズはそれ以降も続き、最終的に2001年に第9シリーズが完結します。この時点で、池波正太郎の原作の範囲内でのドラマ制作という方針が守られており、新たなストーリーを創作することはありませんでした。特に吉右衛門版では、池波の意向を尊重し、原作に基づかない制作がなされることはないとされています。

原作者との取り決め

ドラマの方向性については、池波正太郎との間で「原作を使い切ったら終了する」という明確な取り決めがありました。このため、吉右衛門版が全作品をドラマ・映画化した後、未完の遺作に対しても、シナリオライターがエンディングを補完る形で製作が行われました。

また、序盤の悪戦苦闘の中で原作小説がドラマの放送回数に追い付かない事態が発生した際には、他の池波作品からの素材を用いて書き換えたオリジナル脚本が作成されました。これによって、鬼平ファンの希望にも応えるよう、2005年から2016年にかけて『鬼平犯科帳』スペシャルが年に一作程度のペースで制作されることになります。

差別表現についての問題

原作には「唖（おし）」や「跛（びっこ）」といった言葉が含まれており、ある団体からの問題提起がありましたが、それに対して文春文庫版では表現の削除は行われませんでした。ただし、テレビドラマ版の再放送においては、障害者団体や人権団体からの圧力を受け、劇中の差別的な言葉がすべて削除されています。そのため、特定のエピソードはタイトルを変更されることとなり、二代目中村吉右衛門版では「むっつり十蔵」、十代目松本幸四郎版では「でくの十蔵」という題名がつけられています。

シリーズ一覧

『鬼平犯科帳』には多くの続編や特別編があります。以下はその一部です:

• - 八代目松本幸四郎主演版
• - 丹波哲郎主演版（1975年）
• - 萬屋錦之介主演版（1980年～1982年）
• - 二代目中村吉右衛門版（1989年～2016年）
• - 十代目松本幸四郎版（2024年開始）

さらに、時代劇専門チャンネルでは番外編として「鬼平外伝シリーズ」が制作され、フィルム撮影により多様な視点から物語が語られています。

結論

『鬼平犯科帳』は、多様な俳優たちによる演技と原作の強固な基盤に支えられた日本の名作時代劇として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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