鬼籍

鬼籍（きせき）とは

鬼籍とは、亡くなった人の名前を記録する帳簿のことを指します。仏教や民間信仰において、地獄の閻魔大王が管理しているとされるもので、死者の情報が記載されています。鬼録（きろく）、生死簿（せいしぼ）、閻魔帳（えんまちょう）とも呼ばれます。

概要

鬼籍には、亡くなった人の姓名や年齢などが記録されているとされます。また、生きている人の寿命がすべて記されているという考え方もあります。

ここでの「鬼」は、一般的にイメージされる鬼（赤鬼や青鬼など）ではなく、亡くなった人の霊魂を指します。

「鬼籍に入る」という慣用句は、人が亡くなることを意味します。これは、鬼籍に名前が記載されることに由来します。また、比喩的に物事が廃止されるという意味でも用いられます。「鬼録に登る」も同様の意味を持ちます。

寺院で記録される「過去帳」も、鬼籍と呼ばれることがあります。

鬼籍にまつわる物語

鬼籍にまつわる物語として、以下のようなものがあります。

同姓同名の人物がいたために、冥府側で誤って別の人物を死なせてしまったという話
書類上の寿命よりも早く亡くなってしまった人が、現世に戻されるものの、適切な体がなく、別の遺体に魂を移されてしまうという話

これらの物語は、中国や日本の説話集に見られます。

中国の小説『西遊記』には、生死簿が登場します。生死簿には、人間だけでなく、あらゆる生物の寿命が記載されており、孫悟空は自分の寿命を抹消して不死の体を得ています。

同義語と類語

点鬼簿（てんきぼ）：過去帳のこと。この「鬼」も死者の霊を指します。
質阻羅笈多（しつそらきゅうた）：閻魔大王のもとで人々の善悪を記録する役人、記録官。中国では司命（しめい）とも呼ばれます。
冥籍（めいせき）：冥界に存在する鬼（霊鬼）たちが登録されている戸籍。転生などの管理に用いられたと考えられています。

参考文献

川畑英毅『この日本語の意味がわかりますか?』 PHP研究所

関連項目

過去帳
地獄
冥府
西遊記

外部リンク

* 鬼籍 - コトバンク

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