魔球 (小説)

魔球

『魔球』は著名な推理作家、東野圭吾による作品で、彼の代表的な青春ミステリーとしてしばしば言及されます。この小説は、1991年に講談社から発表され、第30回江戸川乱歩賞の最終候補にまで選出されたものの、残念ながら受賞には至りませんでした。物語の中心に据えられたのは、開陽高校硬式野球部の主将、北岡明の悲劇的な死という衝撃的な事件です。

あらすじ

物語は、開陽高校の硬式野球部の主将である北岡が、愛犬と共に殺害されるという衝撃的なスタートを切ります。彼の死は、チームのメンバー全体に大きな影響を及ぼし、特に須田武志という投手の心の中に深い動揺をもたらします。須田は天才肌の選手であり、プロ入りを夢見ていますが、そんな彼の思いは、一つの「魔球」に結び付けられます。この「魔球」は、須田が試合中に投じた特別な投球フォームで、北岡の殺害と何らかの関連があると考えられます。

物語は、須田がこの事件の真相を探る過程を描きながら、彼の内面の葛藤や成長を追っています。須田は主将の死を胸に秘めつつも、プロ入りに向けた執念を燃やし続ける姿が印象的です。また、須田には弟の勇樹がいますが、彼は兄とは対照的に穏やかな性格であり、兄を支える存在として物語に絡んでいきます。

登場人物

• - 須田武志（すだ たけし）

開陽高校の3年生で、硬式野球部の投手として卓越した才能を持つ人物です。彼はプロ入りを目指し、強い意志を持っていますが、そのためには時に手段を選ばない覚悟も抱えています。物語の流れの中で、彼の成長と苦悩が描かれます。

• - 北岡明（きたおか あきら）

被害者であり、須田のチームメイト。開陽高校の3年生で、硬式野球部のキャプテンを務めていました。彼の死は、ストーリーの重要な核であり、周囲の人間関係を大きく変えます。

• - 須田勇樹（すだ ゆうき）

武志の弟で、開陽高校の2年生。安定した性格の持ち主であり、兄を支える存在として物語に絡み、時として兄の心の支えとなります。

• - 芦原誠一（あしはら せいいち）

東西電機の元従業員であり、事故による怪我によって職を辞し、かつては野球部に所属していました。彼の過去も物語の中で重要な役割を果たすことになります。

『魔球』は単なるミステリーではなく、青春の葛藤や友情、夢を追うことの意味を深く掘り下げた作品です。読者は須田の視点を通じ、事件の真相に迫りながら、彼の成長物語を見守ることができます。

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