鮮血の記録

映画『鮮血の記録』の魅力

『鮮血の記録』（せんけつのきろく）は、1970年6月10日に公開された日活制作の任侠アクション映画で、野村孝が監督を務め、小林旭が主演することで注目を浴びました。この映画は戦争の悲劇、友情、裏切り、復讐といったテーマを巧みに織り交ぜ、強いメッセージを持っています。

あらすじ

物語は、インパール戦線で捕虜となった主人公、野尻稔の帰還から始まります。彼は日本に戻るものの、愛する恋人の行方がわからず、さらに軍からは彼が殺されたという虚偽の情報が流布されてしまいます。この状況の中で、偶然再会した戦友・原政久と共に、東京の闇市で喧嘩しながら商売を始めます。しかし、彼らのシマを仕切っている犯罪組織・倉畑に目をつけられ、原は脅迫され、野尻はアメリカ軍に逮捕されてしまいます。

3年後、釈放された野尻は、彼を陥れたのが過去の上官・町田だと知ります。彼の復讐が始まりますが、その道のりは決して平坦ではなく、運命に翻弄されながらも彼はその道を進み続けます。物語は、彼の復讐心が高まる中、友情と裏切りが交錯し、彼の過去と向き合う姿を描いています。

キャスト

映画には、小林旭が野尻役として出演し、彼の強靭な演技が物語を引き立てています。田村高廣が原政久役を演じ、二人の友情を深く表現しています。水野久美が恋人・由香役で、彼女の存在が野尻の心の葛藤を象徴しています。さらに、青木義朗が倉畑、岡田英次が町田として、物語をより緊迫感のあるものにしています。その他にも、多くのキャストが脇を固め、全体の深みを増しています。

スタッフ

監督は野村孝が務め、脚本は山口清一郎と山崎巌が手がけています。原作は野尻稔の「焔の記録」をもとにしていますが、映画として独自の視点が加えられています。音楽は小杉太一郎が担当し、感情が高まる瞬間に合わせて場面を盛り上げる役割を果たしています。また、撮影を手掛けた峰重義や、美術の松井敏行、編集の鈴木晄といったスタッフたちの技術が、映画全体の雰囲気を独特のものにしています。

併映作品

この映画は、同時に『女秘密調査員 唇に賭けろ』も併映されており、観客を引き込むためにさらなる魅力を加えています。

『鮮血の記録』は、そのストーリーだけでなく、キャストやスタッフの力によって、観る者に強い印象を残します。闇市の厳しさや戦争の影響、また人間の持つ復讐心を巧みに描くこの作品は、任侠映画の中でも特に評価が高いものとなっています。

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