鳥中毒撲滅協会

鳥中毒撲滅協会：猫の禁断症状と意外な結末

1957年、アカデミー賞短編アニメ部門を受賞した『鳥中毒撲滅協会』（原題：Birds Anonymous）は、ワーナー・ブラザースのメリー・メロディーズシリーズによる作品です。日本では『小鳥が大好き？』というタイトルでも知られています。このアニメーションは、猫のシルベスターとカナリアのトゥイーティーという人気キャラクターをフィーチャーし、彼らの定番の追いかけっこを、ユニークな視点で描いています。

禁断の欲求に苦しむシルベスター

物語は、こっそりとトゥイーティーを捕まえようとするシルベスターから始まります。彼はカーテンやブラインドを閉め、周囲の目を避けようとしますが、そこに現れたのは、ある一匹の猫でした。その猫は、シルベスターにトゥイーティーを離すよう促し、驚くべき言葉を告げます。「鳥への執着は、あなたを破滅へと導くのです。一羽、また一羽と、いつしか抜け出せなくなるでしょう」。そして、シルベスターに「鳥中毒撲滅協会」の名刺を渡します。

鳥中毒撲滅協会とは？

シルベスターは、協会の集会に参加します。そこで彼は、鳥への強い執着に苦しんできた猫たちの体験談を聞きます。彼ら自身の克服の物語は、シルベスターに深い感銘を与えます。

誘惑と葛藤

しかし、家に帰ったシルベスターを、更なる試練が待ち受けていました。テレビやラジオからは、鳥に関する番組ばかりが流れてきます。耐えかねたシルベスターは、ついトゥイーティーに襲いかかろうとしますが、その時、再びあの猫が現れ、彼を制止します。

シルベスターは、ついに感情を抑えきれなくなり、泣き崩れてしまいます。しかし、その猫は彼に優しく語りかけます。「開き直る必要はありません。猫だって鳥と仲良くなれるのです」。そして、驚くべき行動に出ます。トゥイーティーをシルベスターの手のひらに乗せ、キスをさせたのです。

意外な結末

しかし、この行動によって、事態は思わぬ方向へと転がります。トゥイーティーと仲良くなったかに見えたシルベスターは、すぐにトゥイーティーを捕まえようとするのです。この行動に、トゥイーティーは呆れ顔でこう言います。「だから言ったでしょ？悪い猫はいつだって悪い猫なのよ」。

スタッフとキャスト

この作品は、フリッツ・フレレング監督、エディ・セルツァー製作、ウォーレン・フォスター脚本など、多くの才能が集結して制作されました。メル・ブランクが、シルベスターとトゥイーティーの声を担当しています。

トゥイーティーのアカデミー賞受賞

この作品は、トゥイーティーにとって2度目のアカデミー賞受賞作品となりました。前回の受賞から10年ぶりであり、彼の圧倒的な人気を改めて示しています。また、シルベスターもこの作品に出演しており、ルーニー・テューンズのキャラクターとしては最多のアカデミー賞受賞歴を持つキャラクターとなっています。

まとめ

『鳥中毒撲滅協会』は、ユーモラスな展開の中に、人間の様々な感情や弱点を巧みに描き出した、傑作短編アニメーションです。一見シンプルなストーリーですが、中毒や依存といった現代社会にも通じるテーマを、軽妙なタッチで表現しています。シルベスターとトゥイーティーのコミカルなやり取りはもちろんのこと、猫の心理描写の深みも魅力の一つと言えるでしょう。この作品は、何度見ても新たな発見がある、何度でも楽しめる作品です。

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