鳥取県道303号大高下口波多線

鳥取県道303号大高下口波多線（おおこうげくちはたせん）は、岡山県津山市から鳥取県八頭郡智頭町に至る計画の一般県道として位置づけられています。しかし、この路線はその認定状況や開通状況において特異な性質を持っています。

概要

この県道は、岡山県津山市阿波を起点とし、鳥取県八頭郡智頭町大字口宇波を終点とする構想に基づいています。しかし、重要な点として、岡山県側ではこの路線が正式な県道として認定される予定がありません。そのため、現状では鳥取県側のみが県道として指定されている状態です。岡山県側の区間は、実質的には「林道落合線」として利用されています。興味深いことに、岡山県において「県道303号」という番号は現在、いずれの路線にも割り当てられておらず、欠番となっています。

本路線の将来的な見通しは、非常に不透明です。2006年（平成18年）の報道によれば、鳥取県側では山陰自動車道の整備に伴う国道9号の役割変更を契機に、県道路線の再編計画が進められています。このような背景に加え、岡山県側での県道認定や全線にわたる区域決定、さらには全体としての開通の見込みが立たないことから、本路線の今後の動向は予断を許さない状況にあります。

路線データ

県道として計画されている区間に関する主なデータは以下の通りです。

起点: 岡山県津山市阿波（岡山県道・鳥取県道118号加茂用瀬線との交点）
終点: 鳥取県八頭郡智頭町大字口宇波（岡山県道・鳥取県道6号津山智頭八東線との交点）
総延長: 計画上の距離は約6.4キロメートルとされています。
未認定区間: 起点である岡山県津山市阿波から岡山県と鳥取県の県境までの区間は、岡山県によって県道として認定されていません。このうち、途中までは林道落合線として整備されています。
未開通区間: 岡山県と鳥取県の県境から鳥取県八頭郡智頭町大字波多までの約1.2キロメートルは、物理的に道路が開通していない区間です。

これらのデータから、本路線はその大部分が未認定または未開通であり、計画段階に留まっていることが分かります。

歴史

本路線が県道として指定されるまでの経緯は以下のようになります。

1976年（昭和51年）12月28日: 鳥取県の告示第1,043号に基づき、本路線が県道として認定されました。
1982年（昭和57年）9月10日: 鳥取県内の県道番号が再編され、本路線の番号が現在の303号に変更されました。
1984年（昭和59年）8月31日: この県道番号の変更が、鳥取県告示第645号によって正式に告示されました。
2005年（平成17年）2月28日: 起点の地名である苫田郡阿波村が大字大高下を含む形で津山市に編入されたことにより、起点の地名表記が「津山市阿波字大高下」へと変更されました。これにより、路線の起点を表す地名表示に修正が生じました。

地理

この県道が通過する、あるいは通過する予定の自治体は以下の通りです。

岡山県: 津山市
* 鳥取県: 八頭郡智頭町

計画上の起点では岡山県道・鳥取県道118号加茂用瀬線と、終点では岡山県道・鳥取県道6号津山智頭八東線と接続するとされています。

沿線には、自然の景観を楽しむことができるスポットが点在しています。具体的には、落合渓谷の豊かな自然や、布滝（のんだき）、白髪滝といった滝の景観が挙げられます。また、白髪滝キャンプ場のようなレクリエーション施設も存在します。これらの場所は、たとえ道路が全線開通していなくとも、周辺地域からのアクセスが可能な場合があります。

本路線のように、県境を越える計画でありながら一方の県のみが認定し、しかも未供用・未開通区間を多く抱える例は他にも見られます。高知県道369号大木屋丸山線（大木屋小石川林道）などが類似のケースとして挙げられます。鳥取県道303号大高下口波多線は、このような未完成の県道という特殊な事例として、その存在が知られています。

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