鳥山敏子

鳥山敏子の生涯と教育思想

生い立ちと初期の経歴

鳥山敏子（とりやま としこ）は1941年10月3日に広島県で生まれ、後に香川県に移住しました。香川大学教育学部を卒業後、東京の青梅市で初めて小学校の教員として教壇に立ちました。教育者としての道を歩む中で、彼女は独自の教育理念を形成していきました。

革新的な教育実践

1980年、鳥山は中野区立桃園第二小学校で「ニワトリを殺して食べる授業」という斬新な試みを行いました。この授業は、屠畜体験学習の先駆けとなり、多くの教育者に新たな視点を提供しました。続いて、彼女は「ブタ一頭丸ごと食べる授業」や、「みんなが孫悟空」といった授業を展開し、実践的な教育の重要性を訴えました。これらの授業の様子は、テレビ朝日の『ニュースステーション』や小泉修吉主催の「グループ現代」によってドキュメント化され、全国に広がりました。

いのちの授業と影響

鳥山の「いのちの授業」は、多くの教育関係者に波及し、黒田恭史などは、彼女の理念を受け継いで同様の授業を実施しました。1990年には、黒田が豊能町立東能勢小学校で行った授業がフジテレビのドキュメンタリーで取り上げられ、反響を呼びました。この流れを受けて、2008年には映画『ブタがいた教室』が制作され、広く支持を得ることとなりました。

宮沢賢治との関わり

教育者としての職務を続ける中で、鳥山は宮沢賢治に深く傾倒しました。彼女は賢治の教え子たちに対する聞き取り調査を行い、その成果を『先生はほほ〜っと宙に舞った - 写真集 宮澤賢治の教え子たち』や、11巻からなるDVD映画として発表しました。これらの作品は教育者としての彼女の実践姿勢を示す貴重な資料となっています。

「賢治の学校」の設立と教育活動

1994年に教職を辞した後、大町市に「賢治の学校」を設立し、生活に密着した教育を追求しました。1997年には東京都立川市に移転し、ルドルフ・シュタイナー教育の理念を取り入れた活動を展開しました。彼女の取り組みは、教師たちを育成する新たな場となり、教育界にさまざまな影響を与えました。

晩年と著書

2011年には「賢治の学校」の代表を退任し、2013年10月7日に肺炎のため72歳で亡くなりました。彼女の残した著書には、『イメージをさぐる からだ・ことば・イメージの授業』や、『いのちに触れる 生と性と死の授業』などがあり、教育に対する飽くなき情熱が反映されています。これらの書籍は、今なお多くの教育現場で読み継がれています。

教育界への影響

鳥山敏子の教育実践は、伝統的な教育手法にとらわれることなく、子どもの内面や生きる力を引き出そうとする革新的なものでした。その功績は教育界のみならず、広く社会に影響を与え続けています。彼女の生涯にわたる取り組みは、未来の教育者たちにとっての指針となるでしょう。

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