鳥山明のヘタッピマンガ研究所

鳥山明のヘタッピマンガ研究所

『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』は、著名な漫画家・鳥山明とさくまあきらによる共作で、日本の漫画文化において独特の位置を占めています。この作品は、「あなたも漫画家になれる！かもしれないの巻」というサブタイトルが付けられ、1982年から1984年にかけて『フレッシュジャンプ』（集英社）で連載され、1985年に単行本としてまとめられました。

概要

本作の特徴は、中心となるキャラクターであるコオロギをロボット風に擬人化したヘタッピ君が登場し、鳥山明が漫画の描き方を解説するという構成です。内容は、漫画制作に関するさまざまな要素を網羅しており、作画技術やキャラクター設定、ストーリーの展開方法などについて、分かりやすく説明されています。このような情報は、特に漫画に興味を持つ若い読者層にとって、非常に有意義です。

また、読者から送られてきた漫画作品に対する鳥山の添削パートも含まれており、批評やアドバイスを通じて、読者との双方向的なコミュニケーションが行われています。このように、読者が自らの作品を投稿し、その反応を楽しむことができるスタイルは、多くの漫画ファンにとって新鮮な体験となりました。特に、「どうやったら絵（または漫画）がうまく描けるようになりますか？」という質問に対する答えが一つの成果物として具体化されている点が、作中の大きなテーマとなっています。

単行本の構成

『ヘタッピマンガ研究所』の単行本は、以下のような内容で構成されています：

• - ヘタッピマンガ研究所: 連載された全12回と特別編が収録されています。基本的にキャラクターの特徴付けや基礎的な内容が中心ですが、更には本格的な技法や原稿用紙の説明も含まれています。また、特別編では原稿持ち込みの流れが解説されています。
• - トリヤママンガスクール: 連載では紹介されなかった道具や描写について詳しく解説されており、カットは西村まさのりによって描かれています。鳥山自身の写真も多く掲載されており、読者には親近感が伝わります。
• - ヘタッピマンガレポート: 読者から投稿されたヘタッピマンガを取り上げ、評価やアドバイスを行っています。中には、一部の上手い作品は趣旨に合わないとして小さく掲載されることもありますが、投稿者には必ず一つは褒められるポイントがあり、励ましが込められています。
• - おまけ編: 人気作品『Dr.スランプ』のキャラクターの描き方についての解説があります。

逸話

作中漫画の主人公は、実在の編集者・鳥嶋和彦がモデルとなっており、彼自身も登場します。特に、漫画の主人公にした際には「原作はさくまさんですから」といった一言がユーモラスです。また、2008年には『週刊少年ジャンプ』の創刊40周年を記念した企画として、村田雄介が手がけた『ヘタッピマンガ研究所R』が登場し、2010年まで連載されました。

さらに、2013年には、人気バンドのマキシマムザホルモンのアルバムの表題曲に「“ヘタッピマンガ研究所”がバイブル」との一節があり、文化的な影響力を伺わせます。

このように、『鳥山明のヘタッピマンガ研究所』は、評価の高い漫画であると同時に、漫画制作に関する教育的要素も備えた作品です。読者に対する温かい視線と、漫画の楽しさを巧みに伝えたこの作品は、今も多くのファンに愛され続けています。

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