鳥見

鳥見（とりみ）とは

鳥見とは、江戸幕府における職名の1つで、主に鷹狩に関する業務を担っていました。その起源は中世に遡り、江戸幕府だけでなく、各地の藩にも同様の役職が設置されていました。

鳥見の役割

鳥見の主な役割は、鷹狩を行う場所（鷹狩場）における鳥の生息状況を把握し、より多くの獲物が期待できる場所へと鷹匠を導くことでした。鷹匠が鷹の調教を行うのに対し、鳥見は鷹狩の現場における鳥の情報を管理する役割を担っていました。

また、鷹狩場が特定の場所に固定されるようになると、鳥見は単に鳥の生息状況を監視するだけでなく、鷹狩場での密猟を防止したり、獲物となる鳥に餌付けを行ったりする業務も行うようになりました。さらに、周辺の農村部における人員の動員や治安維持も担当するなど、その業務範囲は多岐にわたりました。鳥見の業務には、長年の経験に基づく狩猟に関する知識が不可欠であり、その技能は世襲されることが多くありました。

諜報活動

鳥見は、鳥の生息状況を調査するという名目で、武家屋敷や大名屋敷に出入りすることがありました。また、役職に見合った給与（80俵5人扶持）が支払われていたことから、諜報活動も行っていたのではないかという説も存在します。

歴史

徳川家康以来、江戸幕府の歴代将軍は鷹狩を好んだため、鳥見のような役職は存在したと考えられます。しかし、正式な役職として定められたのは寛永20年（1643年）のことです。この時、若年寄の支配下に10名の鳥見が置かれました。その後、徳川綱吉の生類憐れみの令によって一時的に鳥見の人数は大幅に削減されましたが、徳川吉宗の時代に復活し、その規模は拡大されました。鳥見の役職は、徳川慶喜が西洋軍制を採用する方針を固めた慶応2年12月（1866年）に廃止されました。

在宅鳥見と鷹番

鷹狩場に滞在する在宅鳥見の下には、周辺農村から村役の一環として「鷹番」が登用されていました。しかし、この鷹番の負担は大きく、将軍の鷹狩の際の人夫徴発と合わせて、農民一揆などの騒動を引き起こす一因にもなりました。

主な役職

鳥見には、以下のような役職がありました。

鳥見頭（鳥見組頭）：200俵高・野扶持5口・役金20両 - 2名
鳥見：80俵高・野扶持5口・伝馬金18両 - 当初10名、最終的に32名
鳥見見習：9名
在宅鳥見：7名（鷹狩場に居住）

このように、鳥見は江戸幕府において、鷹狩を円滑に進める上で重要な役割を担っていました。

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