鳳山紅毛港保安堂

鳳山紅毛港保安堂について

鳳山紅毛港保安堂（ほうざんこうもうこうほあんどう）は、台湾・高雄市の鳳山区に位置する廟です。この廟の特徴は、日本の旧海軍の艦艇、第三十八号哨戒艇を祀っている点にあります。この艦艇は、太平洋戦争中に沈没した歴史を持ち、その後の地域社会の信仰や文化に深く根付いています。

由来

この場所における信仰は、1946年に始まりました。第二次世界大戦が終わり、漁に出ていた地元の漁民が漁網にかかった頭蓋骨を発見しました。彼らはその頭蓋骨を草葺きの小屋に安置し、「海府尊神」として祀ることにしました。この出来事以降、漁業が繁栄したため、海府尊神への信仰が高まり、1953年には正式に保安堂が建立されました。

1968年には、漁師の蘇某が海府尊神の指示を受け、特定の場所で建て替え工事を行うことになりました。その後の1990年には、艦長だった高田又男の霊が、日本語で語りかけるという不思議な出来事が起きました。信者たちは、彼の言葉を真摯に受け止め、沖縄の護国神社を訪れることでその信憑性を確かめました。

海府大元帥の崇拝

これらの出来事を経て、海府尊神は「海府大元帥」と呼ばれるようになり、信者たちは彼の霊が日本へ帰れるようにと願い、1991年に「38にっぽんぐんかん」と名付けられた艦艇の模型を奉納しました。この模型は、近代の日本海軍の姿を再現し、現在も保安堂の重要な御神体として位置づけられています。

保安堂の活動

保安堂では、毎月の特定の日に「君が代」や軍艦マーチの音楽を流し、11月23日には特別な慶典が行われます。この日には、海府大元帥と38にっぽんぐんかんの霊を偲び、信者たちが神像を持参し、日本各地の神社を参拝することもあります。

特に、日本からの訪問者も増えており、これを受けてボランティアグループが組織され、交流が促進されています。このように、保安堂は台湾と日本の文化交流の場ともなっています。

建物と内部

鳳山紅毛港保安堂の建物は、神の指示に基づいて建設されたとされ、屋根の青色は日本海軍を象徴しています。内部には、中央に郭府千歳、左側に宗府元帥、右側に海府大元帥が配されており、その周囲には観音菩薩や虎爺が鎮座しています。また、手前には日本式の神輿が設置されており、左奥には「38にっぽんぐんかん」が鎮座しています。

この神艦は、2メートルの大きさで、細部にわたって工芸的なアプローチがされています。船腹には日本語で「38にっぽんぐんかん」と記され、その姿は多くの信者や訪問者の目を引きます。

アクセスと開館時間

鳳山紅毛港保安堂は、高雄国際空港から近く、草衙駅から徒歩で約20分の距離にあります。参拝時間は朝6時から夜の20時までとされ、観光客にとって訪れやすい環境が整っています。

まとめ

鳳山紅毛港保安堂は、単に宗教的な施設にとどまらず、戦争の記憶と共に生きる信仰の場として、台湾と日本の歴史的な繋がりを体現しています。廟を訪れることで、過去の出来事に思いを寄せ、その歴史を学ぶことができる貴重な機会を提供しています。

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