鳳翔 (空母)

鳳翔について

「鳳翔」は大日本帝国海軍が最初に保有した航空母艦であり、世界初の新造空母として1920年に建造が開始されました。当初は特務船として計画されていましたが、1919年に艦名が決定された際には、津軽半島の最北端を意味する「竜飛」ではなく、鳳翔と名付けられました。この艦名には過去の砲艦「鳳翔」があったことからも、その意義が引き継がれています。

設計と技術

鳳翔は設計段階から航空母艦としての機能を持つ艦艇として取り組まれ、世界初の全通式飛行甲板を備えた艦となりました。イギリス海軍からの技術提携を受けて、航空機発進と着艦の技術が進められ、日本の航空母艦建造の基礎となりました。しかし、完成当時の艦型は小型で、航空機のサイズも大型化していくなか、運用上の課題が存在しました。

構造と改装

鳳翔の建造には起倒式の煙突や須式船体動揺安定儀が採用され、安定性の向上が図られました。その後、運用上の課題を解決するため、艦橋やクレーンの撤去、煙突の改装などが行われました。さらに搭載機が増えたことで火器の更新も進み、対空火器が強化されていきました。

着艦技術の発展

鳳翔では着艦装置の導入が重要な課題でした。竣工時には縦索式制動装置が採用されましたが、着艦において多くの事故が発生しました。そのため、後に横索式制動装置が導入され、これにより着艦方法も「三点着陸」という新たな技術が確立され、より安全に発着艦が行えるようになりました。

歴史的な試練

鳳翔の歴史は建造から始まり、第一次世界大戦後の不況時代においても日本の航空技術の進展に寄与しました。1923年には鳳翔上での着艦試験が行われ、元イギリス空軍のウィリアム・ジョルダンが日本機で初の着艦に成功しました。この成功は、鳳翔が日本初の航空母艦としての地位を確立する重要な出来事でした。

戦争への参加とその後

その後、鳳翔は 上海事変や日中戦争に参加し、1940年代には太平洋戦争においても戦力として活躍しました。しかし戦局が厳しくなるにつれ、鳳翔の役割は主に訓練艦としてのものにシフトしていきました。1944年には艦隊への実戦部隊の一員としての任務を終え、終戦まで内海での訓練に従事しました。

終戦後と解体

鳳翔は戦後も復員輸送艦として南方と内地の間を行き来し、多くの将兵を輸送しましたが、1947年に解体されました。その過程で、鳳翔は日本海軍の艦艇としての歴史や技術を後世に伝える重要な存在となりました。

結語

鳳翔は日本初の本格的な航空母艦として、多くの歴史的試練を経ながら航空機運用技術の礎を築きました。彼女の存在は、日本の海軍力の強化や航空母艦戦術の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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