鳶型試作偵察機

鳶型試作偵察機（2MR1）

概要

鳶型試作偵察機は、大日本帝国陸軍向けに三菱航空機が開発した偵察機で、その機種番号は「2MR1」と名付けられました。この機体は1926年8月に設計がスタートし、競争試作の一環として陸軍からの指示に基づいて設計されたものです。試作には三菱の他にも川崎造船所飛行機部や石川島飛行機が参加しており、さまざまな技術が競い合った結果、三菱はアレクサンダー・バウマン教授の指導の下、仲田信四郎技師を主に設計を進めました。

1927年7月には試作機が完成し、二機が製造されました。

設計と性能

この偵察機は木と金属の混合構造で、羽布および合板を用いて仕上げられた一葉半の複葉機です。また、降着装置は固定式でありながら、フロートを取り付けることで水上機に変えることもできる設計がなされています。特に翼間支柱や張線に新しい技術が取り入れられており、陸軍の要求を超える飛行性能を持っていました。

実際に三菱側で行われた飛行試験では、優れた速度性能が確認され、この機体の将来に期待が寄せられました。

不採用の経緯

しかしながら、試作機はその後、所沢での陸軍への引き渡しテスト中に問題が発生しました。具体的には、着陸脚の緩衝装置に故障が生じ、着陸時に機体が大破する事故が起きてしまいました。このため、鳶型試作偵察機は残念ながら不採用となり、その後の採用機は他社の試作機である川崎のKDA-2が選ばれました。KDA-2は後に八八式偵察機として正式に採用されています。

諸元

鳶型試作偵察機の具体的な諸元は以下の通りです。

• - 全長: 9.55メートル
• - 全幅: 17.40メートル
• - 全高: 4.35メートル
• - 主翼面積: 50.0平方メートル
• - 自重: 1,350キログラム
• - 全備重量: 2,500キログラム
• - エンジン: 三菱製イスパノ・スイザ 水冷V型12気筒（最大600馬力） × 1
• - 最大速度: 227 km/h
• - 実用上昇限度: 8,280メートル
• - 航続時間: 6時間
• - 武装: 7.7mm固定機銃 × 2、7.7mm旋回機銃 × 2
• - 乗員: 2名

このように、鳶型試作偵察機は新しい技術が試みられた意義ある機体でありましたが、最終的にはその性能が十分に活かされることなく不採用となったことは残念な歴史の一部と言えるでしょう。

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